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[コメント] 宇宙大戦争(1959/日)

円谷英二の「宇宙」の広さを思う存分味わえる。
荒馬大介

 本作の設定は「1965年」という、現実ではまだアポロさえ月に到達していない年が舞台となっている。まああまり遠すぎても現実味が無さ過ぎるが、映画の中ではちょうどこの1965年に、ゴジラが宇宙に、しかも月どころか木星まで飛び出てしまった。タイトルに同じ「〜大戦争」と付くのは何かの偶然だろうか。

 さて「宇宙」と銘打つだけあって、話の中盤はずっと宇宙で展開されている。宇宙といっても月までしか行ってないが、それでも片道で2、3日はかかるのだからそれなりに遠出はしているか。その間、船内の様子と交えて宇宙空間のカットが挿入されるが、これが実に綺麗なのだ。そこを、画面右斜め奥へ飛んで行く宇宙船。宇宙船は惰性で航行中なので炎も煙も出ていない。奥行きのある宇宙をちゃんと見せてくれているのは嬉しい。

 話の後半はその宇宙で、宇宙戦闘機vs円盤の激しい光線の撃ち合いが繰り広げられるが、はっきりいってこのシーンは凄い。光線の撃ち合い、というのがポイントだと思う。『スター・ウォーズ』のような光「弾」ではなく光「線」なのだ。それが戦闘機の先端や円盤から、ほとんどずれることなく次々と放たれるのだから凄い。「弾」だとある程度ごまかしが効くが、「線」はそうもいかない。この光学合成を担当した向山宏氏の意気込みがそのまま伝わってくるようである。

 特撮はこんな調子で見せ場たっぷりだが、話自体はかなりストレートで少々印象が弱い。とはいえ科学会議のシーンは各国学者が勢揃いして、この辺は『地球防衛軍』よりも国際色豊か。泣かせる設定の土屋義男が相変わらず良い味を出してます。そして伊福部昭のマーチは最高だ、ということを改めて教えられる一本。

(評価:★4)

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