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[コメント] ゴジラ2000・ミレニアム(1999/日)

……さあ困った、復活1発目がこんな映画になっちゃったぞ!
荒馬大介

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 1989年『ゴジラvsビオランテ』から始まった平成ゴジラシリーズはその後毎年のように正月興行を賑わせてきたが、各作品とも登場人物は違えど世界観は一緒で、小高恵美など毎度のように出ていた(今この方はどこで何をしているのだろうか?)。それ故に生じる無理矢理で突拍子も無い設定は、もはやマニアの許せる範囲も超えていたように思える。

 そこへ95年になって、ガメラが登場した。はっきり言ってこれはもう特撮怪獣ファンにとっては衝撃だった。「こんな怪獣映画が撮れるのか!」相当数の方がそう思ったに違いない。より本物に近いミニチュアは、日本名所巡りと化していたゴジラシリーズのそれよりもずっと印象に残るものだった。99年にガメラは賛否両論ありながらも完結を迎えたが、たった3本ながらもファンに与えたインパクトは平成ゴジラ6本のそれと同等、いやそれ以上だった可能性もあるのだ。

 ……そしてアメリカ版『GODZILLA』を受けてようやく本家も復活したわけだが、これが復活1発目とは。

 平成ゴジラシリーズではそれなりに腕を振るっていた大河原孝夫監督は、本作では見事に空振りしており、(もっともその予兆は『ゴジラvsデストロイア』からあったが)それに輪をかけたようなヒドい脚本という最悪の状況だったのだ。

 第一、発電所をゴジラが襲っているのを見て「ゴジラは人間が産み出したエネルギーを憎んでるんだ」の一言で済ませたり(本当にそれしか言わない)、ゴジラがUFOに再度戦いを挑むことに対して「リベンジだ」という実に臭い台詞を言わせたり、散々やっておいて「ゴジラは俺達の心の中にいるんだ」という結論を出させる感覚はどこから来たのか。もっとどうにかならなかったのか、と本気で思ってしまう。

 特撮レベルも『ガメラ』という前例があるので、どうしても比較してしまいがちだが、あれだけのモノが作れると証明された以上これは避けられない。とはいえ迫力はあったにしても、街を破壊しているシーンはほとんど合成ばかりなのが気になる。まさかミニチュア製作をケチったか? そして、これは誰もが思っただろうが、今頃になってCGモロ分かりのタコ型宇宙人は無いだろう。一番失笑を買ったと思われる(俺も劇場で思わず笑った)。

 とにかく、何でこんな映画になるんだよ、とガッカリである。★2つはほとんど「本家ゴジラが復活したこと」に対しての点数みたいなもの。とにかく説得力の無さ過ぎる演出が見所の怪獣映画だ。

 数年前(といっても本作公開後だが)、SF関係のイベントで東宝の株券を所有しているという方とお会いしたことがある。その方は自己紹介で一番にこう言っていた。

「……皆さん、東宝の株を買って下さい。皆さんが買ってくれれば、ゴジラの最新作にタコ型宇宙人が出るなんてことはなかったんですから!」

(評価:★2)

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