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[コメント] キル・ビル(2003/米=日)

仇討ちという名のファンタジーに格好良さこそ感じるも、ザ・ブライドやオーレン・イシイの遺恨や怨念すらもファンタジーの一環でしかないのはどういうことだ。そこにタランティーノの甘さを感じる。
荒馬大介

 つまりは「70年代邦画にあった怨念復讐映画」を現代風に洗練し、日本という国を舞台にしながらも現実のそれに一切足を着かせなかったファンタジーだった。そして、主人公及び恨みの相手が持つ怨念もその中でしか成立していない。恨みとか復讐の話なのに、最終的にブライドvsイシイはまるで“頂上決戦”であった。言わせてもらうと、それはちょっと違うだろう、と。タランティーノは余りにも見立てに走りすぎて、復讐という行為の表層しか見ていないんじゃないか。エンディングの「怨み節」なんか特にそうで、世の中の底辺に這いつくばるようなドロドロ感があったあの曲が、あの頂上決戦に相応しかったとは到底思えないのだ。

 日本映画が好きなのは本気なのか、それとも映像のネタとしてなのか。はっきりしてくれ、タランティーノ。

(評価:★3)

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