★4 | ユリゴコロ(2017/日) | 頭のネジが外れてると自己分析する女が改変されるに絶対善性のようなものを対置させる凡庸は未だしも結局それはそうでなかったという済崩し展開が論理の欠片もない。だが女は須らく非論理に生きてるのだし吉高は好演だと思う。ダムの愁嘆場はその結実だ。 | [投票(1)] |
★3 | 秘密 THE TOP SECRET(2016/日) | 振っといて回収せず振りもなく主線に躍り出させるとっ散らかった脚本。概ね過去形吉川と進行形梨沙のパートに分断するが連関は希薄だ。過去話を省き絹子という稀代のキャラを増幅すればシュアな出来にもなり得た。それ位にこのサイコクソ女は蠱惑的。 | [投票] |
★5 | 蜜蜂と遠雷(2019/日) | 天才が自己回復するのに我々凡人がわかる映画描法でなく訳分からん馬で起動する何かを表象した。社会から隔絶した何処かで世界の波動に耳を傾ける海岸シーンの無垢な悦びも束の間、コンクールという世間に戻って勝ち上がる。与えられし者への惜しみない賛歌。 | [投票(2)] |
★4 | 空白(2021/日) | 日々のドン詰まりを弥増させる寺島のキャラやクソ親爺の両面性を表出させる季節といった対峙する2人を取り巻く世界の造形が厚みをもたらす。自己承認クソ喰らえのブルドーザーが蹴散らした泥濘にも小さな花が咲くだろう。それは見るものが承認する。 | [投票(1)] |
★4 | 湯を沸かすほどの熱い愛(2016/日) | 報われぬ人生に気付かぬのでなくそういう価値観を持たないのだ。辛苦を乗り越えてきても自己憐憫は皆無。彼女はただ他者を抱きしめる。愛よりもう少し崇高な感じ。ただ、葬儀でああするなら彼女の仕事に対しての思いを丁寧に描かぬと成り立たない。強引だ。 | [投票(4)] |
★3 | 彼女がその名を知らない鳥たち(2017/日) | 展開のミスリードも終盤の乾坤一擲な世界転倒も女流作家の生理に根差す男性嫌悪が決め手となってるが、善良なる男子たる白石も阿部も「陣治」の造形に於いて本質に迫れない。そこが映画的達成に至らぬ要因。一方蒼井は余裕でクソ女を引き寄せる。 | [投票(4)] |
★3 | ラーゲリより愛を込めて(2022/日) | 閉じられた環境で1人唯我独尊の生き方を貫き周りも感化されるというジャンル定型だが、ベタなヒロイズムでないニュートラルな佇まいをニノは良く表現し得てる。『ショーシャンク』を想起するほどに。終盤の畳み掛けに受ける景子の凛々しさも相俟る。 | [投票(1)] |
★4 | 孤狼の血(2018/日) | 『仁義なき』抗争集団劇として台詞の空隙と役者の弾不足が露呈する前半だが、中焦点多用のカメラの包括性と美術の踏ん張りが救う。終わったかに見えた終盤、俄かに映画は継承物語の文脈を獲得しベタなりの強度を纏い出す。パーティ急襲シーンは本篇の佳境だ。 | [投票(6)] |
★3 | 約束のネバーランド(2020/日) | 壮大な背景の片隅だけで展開し予定調和以外の何物も見出せぬが、分を弁えた作りで破綻を免れ金髪ヅラのジャパニーズ少年少女たちがエマだのノーマンだの呼び合う胡散臭さも了承。この世界ゆえ成立する桧吏のヘタウマだが美波の陽性オーラが補完する。 | [投票(1)] |
★4 | 孤狼の血 LEVEL2(2021/日) | 組同士の覇権闘争や組織内の再構築といったパワーゲームの醍醐味は亮平の1本被りの狂犬性により放逐される。已む無く浮させた桃李との個の対決が反リアルな地平でヤケ糞の帰結を迎える展開の剛腕に押さえ込まれる。権力の暴虐を十全に描いたのも良。 | [投票(1)] |
★3 | 日本のいちばん長い日(2015/日) | 構図と編集リズムによりドラマのエモーションを高める作為は前半に関しては一応の成果を見せ、ミクロに集約された三者の思いの錯綜は新鮮でさえある。ならば将校の叛乱は寧ろ描かないくらいでよかった。後半は流された感が横溢した岡本版の劣化模倣だ。 | [投票(3)] |
★5 | ピース オブ ケイク(2015/日) | 酔ってユルユルになる男願望が多少入ってるにせよこの多部ちゃんは全存在で等身大の女を具現化して圧倒的だ。足掻いてもがいて駆け抜ける様は「ガールズ・オン・ザ・ラン」であり峯田が世界をきっちりサポート。浴場シーンは溝口的でさえある。 | [投票(1)] |
★3 | シン・仮面ライダー(2023/日) | 冒頭の意味ないド派手は期待させるがシャレの中からマジが滲む塩梅はシャレ方向が振り切れぬのでどうにも半端。庵野の真面目気質は『エヴァ』世界と同質でその既視感が底割れを招く。改造された悲哀もどこ吹く風。ライダーキックの破壊の解釈のみは納得。 | [投票(2)] |
★4 | しん次元!クレヨンしんちゃん THE MOVIE 超能力大決戦 とべとべ手巻き寿司(2023/日) | 大根の衒いなきエロ視線はしんのすけの邪心ないエロ志向と水油の如く乖離するので寸止めを強いられ、令和ニッポンの閉塞はお子ちゃま達に馴染み深いイジメへと矮小化される。『AKIRA』鉄雄よろしくメタモルフォーゼする青年のフォルムは一応の風穴。 | [投票] |