伊吹吾郎の映画ファンのコメント
ぽんしゅうのコメント |
暴動島根刑務所(1975/日) | 空腹に端を発した懲役野郎どもの、蜂起、ゲバルトが活動方針を巡って内部崩壊へという常道をたどるのは、インテリ革命組織と同じ構図だが、最後は個人の自由へ帰結するところがミソ。松方弘樹の豪胆、北大路欣也の純真にからむ女優さんに華がないのが残念。 | [投票] | |
北陸代理戦争(1976/日) | 集団抗争劇ではなく個人闘争劇。拡散ではなく定着。奉仕ではなく生活。ひいては国家より国民。これは『仁義なき闘い』の主題の対極にある「組織」対「個人」観。ゆらゆらと体を前後に揺する川田(松方弘樹)のクセが、この男の秘めたる凶暴性を象徴して秀逸。 [review] | [投票(3)] | |
仁義なき戦い(1973/日) | 学生時代、いくらなんでも金子信雄のような奴はいないと思っていた。社会に出たらいるはいるは、両手の指では足りない!この山守のキャラクターこそが笠原和夫が言う、大きな暴力の後にはびこった新たな暴力、すなわち戦後社会のこずるい権力の象徴なのだ。 | [投票(3)] | |
孤狼の血(2018/日) | ヤクザだ、悪徳警官だ、東映だと喧伝するので『県警対組織暴力』を期待したが。まあしかたない。役所の暴走、江口の男気、真木の女気、石橋の狡猾、竹野内の千葉ちゃん、音尾の真珠、滝藤のギョロ目。北野武の「この野郎!バカ野郎!」とは違う正統派の怒号に浸る心地よさ。 [review] | [投票(4)] | |
獣たちの熱い眠り(1981/日) | アイドル脱皮をはからんとする三浦友和一念発起の汚れ役も、その甘すぎる坊ちゃんフェイスと山口百恵を我らの前から奪った男としての反感には勝てず、総スカンを喰った上にイメージまで落した悲惨な記念碑映画。 | [投票] | |
きばいやんせ!私(2018/日) | 周防正行的うんちくや矢口史靖的解説の伏線は最小限に、いささか強引に、クライマックスの「祭り」をドキュメンタリー的情感だけで押し切ってしまう。これが足立紳 脚本と武正晴演出の戦略なら、もっと撮影(画面)には突出した力が欲しかった。 [review] | [投票] | |
炎のごとく(1981/日) | 良く言えば大胆、悪く言えばルーズな作りで、お決まりの話が語られるわけだが、不思議と2時間半の長尺にも飽きがこないのは、やっぱり「画」の力だろうか。脇に配置された実力派の役者たちが適材適所で存在感を示し、特に文太と対象を成す岡八郎がいい味。 | [投票(1)] | |
現代やくざ 血桜三兄弟(1971/日) | 組織の「運動」を着々と実践する工作員小池朝雄と、組織に依存し「保守」に徹する妄信組員(伊吹吾郎/渡瀬恒彦)という今さらな構図のなかで、お決まりの菅原文太の「任侠」を、新たな「忍耐」のカタチで圧倒する市井の荒木一郎の存在感。 | [投票] | |
仁義なき戦い 完結編(1974/日) | 東京オリンピックから大阪万博へ。日本中で新旧の価値観がぶつかり合った時代。旧世代の大友(宍戸錠)、市岡(松方弘樹)と改革派・武田(小林旭)、新世代・松村(北大路欣也)。キャラが空回りして、政治的かけ引きの面白さがいまひとつ。残念。 | [投票(1)] | |
木枯し紋次郎(1972/日) | 初めと最後だけが、世間の欲としがらみに嫌がおうにも絡められてしまうという“あの”紋次郎ストーリー。途中の三宅島でのプロットは、盛り上がりに欠け和製『パピヨン』を見ている気分。中島貞夫監督と息の合った菅原文太の殺陣はシャープ。 | [投票] | |
日本侠客伝 昇り龍(1970/日) | 任侠映画というよりは、ストーカーお京(藤純子)をメインに据えた大メロドラマなのだが、盛りのついたネコのようにクネクネと品をつくる藤の大時代芝居が浮きまくり、見ていて気恥ずかしいばかり。当惑顔の健さんを間にはさんだ中村玉緒の気丈さが救い。 | [投票] | |
白昼の死角(1979/日) | セットは安っぽいけど、出演者は豪華。当時、飛ぶ鳥落とす勢いの角川映画の底力。それなりに楽しめます。 | [投票] | |
ザ・マジックアワー(2008/日) | 大爆笑とまではいかないまでも、クスクス笑いの連続は充分期待の範疇で、こと「笑う」ということに関しては合格点といえばそうなのだが、喜劇ではあっても喜劇映画になりきらないもどかしさが終始つきまとう。これが三谷映画の到達点であり、そして限界なのか。 [review] | [投票(7)] |