★5 | 海炭市叙景(2010/日) | 生きる喜びを追求することは茫漠たる永遠の願望であり、悲しみこそが逃れようのない人の営みの本質なのだろう。だから我々は海炭市の人々の生き難さに共感し、彼らの悲しみを美しいとすら感じるのだ。北の地の、年の瀬の、市井の叙景に生きることの切なさをみた。 [review] | [投票(4)] |
★5 | 私の男(2013/日) | 激しく家族を希求しながらも、絶対に家族になり得ない「愛」を生きざるを得ない者たち。この二重に否定された関係が紡ぎだす、おぞましくもピュアな「愛」は内へ内へと閉じこもるほどに濃密さを増し、他者を寄せ付けない迫力をはらむ。稀代まれな反・家族映画。 [review] | [投票(4)] |
★3 | ノン子36歳(家事手伝い)(2008/日) | 夢だけはデカイがまったくの世間知らずの若造や、芸能界の底辺ですれきったジゴロまがいの中年男に、自らを託そうとするドン詰まり女坂井真紀のあがきが人間臭さくてネガティブな共感を呼ぶ。星野源や鶴見辰吾の見事な駄目さ加減も好い。 | [投票] |
★2 | #マンホール(2023/日) | 一気にBPMがアップするSNSを使ったやり取りは面白い。きっとこのアイディアが先で、後から穴落ちシチュエーションをくっ付けたのだろうが、その脚本の細部が雑で展開も陳腐。落下男(中島裕翔)の行動に必然性や合理性がなく、なんて頭の悪い男だろうと思った。 [review] | [投票(2)] |
★4 | 夏の終り(2012/日) | 説明描写を省いた日常感あふれる女と男の台詞の交錯が、人の心の裏側をあぶり出し硬質でひりひりした緊張感を生む。人は思い入れが深いほど、己の感情や都合にそぐわない事象を前にしたとき、愛情と怨嗟の間を二転三転し、行動の矛盾を露呈するということ。 [review] | [投票] |
★3 | 658km、陽子の旅(2022/日) | 菊池凛子のアラフォー・コミュ障女の陰気さが「らし過ぎ」て観ている方もどんどん気が滅入る。それにしても、この物語の説得力のなさの原因はなんだろうと考え始めるが面倒くさくなってやめた。熊切和嘉はこのところ脚本に恵まれないなあと大雑把に同情。
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