池田敏春の映画ファンのコメント
母(1963/日) |
夫、父、弟、息子。男(おとこ)性の喪失と母(杉村春子)との狭間で彷徨う民子(乙羽信子)の女(おんな)性の回復が、生むこと、すなわち母性へと回帰するさまが、暗闇のなかの一条の光のようで神々しい。新藤演出の粘着と省略のアンサンブルもベスト。 (ぽんしゅう) | [投票(2)] | |
「産めよ増えよ地に満ちよ」とは、別に全世界を駆け巡った訳ではなく、こういう貧しい関係においてひっそりと呟かれたに違いない、というリアリティが宿されている。 [review] (寒山拾得) | [投票(3)] | |
夫婦の根元的な営みとは綺麗事言ったってこれしかないんだってことだろう。新藤は解りやすい。とてつもなく暗く真っ当な話を60年代ATG前衛テイストでクールに、しかもシャープに描いた傑作。黒田清巳のエッジの効いた撮影は特筆。 (けにろん) | [投票(2)] | |
撮影には見るべきところがあるが、全体的に映画のリズム感というものがなく、ひたすら鈍重な印象を受けてしまう。乙羽信子は名演だと思うが、「重い話だなあ」という以上の感慨はなかった。 (太陽と戦慄) | [投票] |