★3 | 白鍵と黒鍵の間に(2023/日) | 秀でた構成アイデアの筈が叙述トリックへの拘りがなく空転している。何かになれるという根拠ない自信と何者にもなれなかったという諦めと喪失。そういう肝の部分が言うほど伝わってこない。ドタバタにかまけてる間があるならそこもうちょい力入れろよと思う。 | [投票(1)] |
★4 | 家族はつらいよ2(2017/日) | この概ね毒含みの面子を昭和チック優等生家族に仕立て上げる山田の剛腕。ジャーナリスティックな視座も鈍ってないと思うが情緒過多だ。まあそこが美点でもあり稔侍の部屋こそ白眉。終盤、端折った感も拭えぬが深刻なことこそ笑い飛ばせ!はその通り。 | [投票(4)] |
★4 | 家族はつらいよ(2016/日) | かねてより寅屋のコラボ再現を夢想してた山田が尺に合う面子に巡り合ったということで倍賞の後継として夏川も完全に趣味に合う。老妻の反乱は未遂に終わっても犬の欠伸で済む話。若作りな色気を排した世界では稔侍のベタギャグも心地いい。 | [投票(1)] |
★4 | 愛情物語(1955/米) | 陳腐化を免れて輝きを持続する奇抜は希なのであって、豊穣な資本に裏打ちされた王道な通俗ドラマは永遠性を保持する。ジョージ・シドニーの奇を衒わない作風と物語に対する確信の強度は並ではない。趣味ではないが認めざるを得ない。 | [投票(1)] |
★5 | アマデウス(1984/米) | 表裏の無い直截なコンプレックス描写は単視眼的でレトリックに充ちているとは、お世辞にも言い難いが、搦め手から攻めるが如きモーツァルトの今風キャラ確立と正攻法に歴史を包含する重厚な美術のアンビバレンツ。1点攻略を極めれば映画は臨界を超えて行く。 | [投票(1)] |
★5 | ピアノ・レッスン(1993/豪=ニュージーランド=仏) | 殊更に女性の社会性を取り上げることもなく、主人公エイダは、あたかも当然の如くに、自然体で、本能的で、西欧的価値観から自由だ。それは多分にカンピオンの価値観と同期してるらしい。正直尊敬せざるを得ない。主演2人も虚飾を棄てた名演と思う。 | [投票(2)] |
★4 | 戦場のピアニスト(2002/英=独=仏=ポーランド) | ホロコーストへ移送される家族との別離をも瞬く間に流して行き1歩間違えればコメディになりそうな流される主人公の流転の果てが傍観者を経ての終末的孤独というオリジナリティある作劇。前半のゲットーが圧倒的なだけにCG依存の後半は惜しまれる。 | [投票(4)] |
★5 | ピアニスト(2001/仏=オーストリア) | 閉塞状況で育まれた自我が変態性にまで肥大化した世間知らず女の生態と言う事なんだろうが、この真正面から恥ずかしげも無く突き進むキャラクターは殆ど前代未聞。これを体現可能な唯一無二の女優ユペールの憑依演技。憐憫も共感も無い冷徹な視線が良い。 | [投票(1)] |
★5 | 蜜蜂と遠雷(2019/日) | 天才が自己回復するのに我々凡人がわかる映画描法でなく訳分からん馬で起動する何かを表象した。社会から隔絶した何処かで世界の波動に耳を傾ける海岸シーンの無垢な悦びも束の間、コンクールという世間に戻って勝ち上がる。与えられし者への惜しみない賛歌。 | [投票(2)] |