★5 | 戦前的価値の良質部のエッセンスが「献身」であるとするならば、それまでをも否定しなければならない時代の苦渋が滲み溢れている。ただ同じ否定でも、その方法において大島渚が激情的であったのに対し、吉田喜重は冷静沈着であり気品すら漂わせる。 (ぽんしゅう) | [投票] |
★4 | 芳村真理が口から吐き出す煙草の紫煙。どうしてこうも女優を官能的に撮ることができるのだろうか。全体に暗く絞った画面の美しさは絶品だ。社会派的なテーマ・主張を声高に押し付けるのではなく、映画らしく視覚的なイメージできっちり料理してみせる吉田喜重の手腕。あの巨大な看板が引き摺り下ろされていくラストシーケンスは映画的な興奮に満ちている。お見事! (赤い戦車) | [投票] |
★4 | やや教条主義的な嫌らしさも感じてしまうが、しかし撮影とカッティングは冴えている。吉田喜重の初期作品は格好いいね。芳村真理と三上真一郎が再会した夜のダンス。そして「血を吐け、唾を吐け....」と歌手が唄うシーンのカッティング等。佐田啓二、織田政雄、岩崎加根子の祭り上げられる側3人が皆情けなくていい。 (ゑぎ) | [投票] |
★4 | 当時としてはかなり前衛的なテーマだし、モダンなイメージで満ちている。3人の対立が図式的ではあるが、かなり通俗描写も面白く、才能を感じるね。ただ、三上の演技が下手で時々興醒めするも吉田のセンスはすこぶる感じられる。よくこの企画が松竹に通ったね。 (セント) | [投票] |
★4 | 「血は」というよりは「血に」、ドライというよりサースティなのだ。センセーショナリズムへの警句は、それを売り物にした松竹ヌーヴェルバーグ自身、及びそれに続く当時の日本映画全体への戒めでもある。喜重はこの後、愛と情念しか描かなくなる。 (町田) | [投票] |
★3 | 笑うセールスマンだなこれ。 (pinkblue) | [投票(1)] |
★2 | なぜ佐田啓二が偶像なのか不明、科白の切れ味が全くない。いくらなんでも大衆も会社もこれほどバカじゃなかろう。この風刺は表層と戯れるためのネタに過ぎず、モダニスト喜重の悪い処ばかりでている。アクションも冴えない。音楽と織田政雄は良。 (寒山拾得) | [投票] |