★4 | メトロポリタン ニューヨークの恋人たち(1990/米) | クリスマス間近のマンハッタン。毎晩着飾ってはパーティー三昧のスノッブな若者グループが、いつものように高級アパートの一室に集まる。そこに、離婚した母と二人暮しという社会下層の青年が加わり、グループの間に微妙な変化が生じていくのだが…。消滅しつつあるアメリカ上流社会の憂いを丁寧に描いた佳作。ロカルノ映画祭銀豹賞、NY批評家協会賞新人監督賞受賞。アカデミー賞脚本賞候補にもなった。 | [投票] |
★4 | ハンカチのご用意を(1978/仏=ベルギー) | ある昼下がり、とあるカフェ―退屈そうに気だるげにランチをつつく妻ソランジュと、それを心配そうに見つめる夫。二人は何不自由ない生活を送っていたが、なぜかソランジュは半年前から「頭痛、ふさぎの虫、無感情、食欲もなく痩せる一方、おまけに不眠症」。どうやら子どもができないことでの心因性のストレスが原因のようだ。そこで夫は、ただ後ろに座って新聞を読んでいただけの「眼鏡をかけた髭の男」を愛人にしようと、提案をするのだった。―78年アカデミー賞外国語映画賞受賞。 | [投票] |
★4 | アルチバルド・デ・ラ・クルスの犯罪的人生(1955/メキシコ) | 著名な陶芸家でブルジョワなアルチバルドは、数日前に妻を亡くしショックで入院中。その病院の修道女に、自分は幼少時代、母から貰った「オルゴール」で、そのオルゴールにまつわる伝説を語ってくれた家庭教師を「殺した」話をするが、勿論、女はマトモに取り合わない。すると突然、アルチバルドは自分は殺人鬼だと告げ、剃刀でその女を殺そうとする!が!あっけなく逃げられる!?が!逃げる途中、女は偶発的事故で死んでしまう。当然、警察も事故死で片付けようとしたその時、アルチバルドは、自分が修道女を殺したのだと自白する!ナンデ?!それは観てのお楽しみ、ムフフ。 [more] | [投票] |
★3 | 女神たちの季節(1990/米) | NY、マンハッタン。全米有数のビル解体業者マクベインには、悩みが二つあった。ひとつは、再開発計画と解体反対運動の板挟みで手つかずになっている古い建物「ダッチハウス」。もうひとつは、夢ばかり追って自立しようとしない三人の子どもたち。そこで、マクベインは彼らに「ダッチハウス」で自活するよう命じ、三人は途方に暮れながらも、徐々に自分たちの生活を築き始めるのだが…。 | [投票] |
★5 | 沈黙(1963/スウェーデン) | チチチチチ…暗闇にストップウオッチの音。明けて、もう若くはない姉妹と、妹の幼子が汽車の客室にいる。姉は随分具合が悪そうで、面倒を見る間、子どもは客室を追い出される。外を覗き込む子ども。動いているのか、停めてあるのか分からないが、何台もの戦車が車窓を流れていく。やがて一見平和そうな喧騒の町に到着。三人は、姉を休ませるため、この言葉も通じない町に宿を取ったのだ。妹と子どもは裸で寝ている。一枚扉隔てた隣の部屋で、幾分良くなった姉は、咳き込みながら煙草を吹かし、ウィスキーを呷り、翻訳の仕事を始める。瓶が空になった。仏語も英語も独語も通じなかったが、給仕に代わりの酒を運ばせた。「手」がこの国では「カジ」と言うのだと教えてくれた給仕が去る。ベッドに横になる。左のカジは乳房へ、右のカジは… [more] | [投票(7)] |
★4 | 秋のソナタ(1978/スウェーデン) | まるで紅葉のような書斎にて。「生きることを日日に学ぼう。だが自分が何者か分からぬ点が問題だ。ありのままの自分が愛されると嬉しい。でも、その希望は虚しい」―本棚から、妻エヴァが書いた一冊の本を取り出し、自分が大好きな一節を観客に披露する、牧師である夫ヴィクトル。彼は続ける「私が心から愛していると一度は教えてやりたい。だがその心を伝える言葉が見つからない」。するとエヴァが部屋に入ってくる。世界的に有名なピアニストである実母シャロッテ宛に、今しがた書いた手紙を携えて。その手紙は、母の愛人の死のお悔やみ、そして久しぶりの再会を促すものだった。そう、この母と娘は、もうかれこれ七年近くも会っていなかった― [more] | [投票(2)] |
★4 | 冬の光(1963/スウェーデン) | 鐘の音もかじかんで聞こえる北欧の冬。日曜の午後。小さな漁村の片田舎の教会で、トーマスは、数日前に引いた風邪を押して、礼拝を行っている。参加者は数えるほどだし、賛美歌も全然揃わない。だが、そのうちの一人、オールドミスの小学校教師マッタの神父に注がれる眼差しだけが少し違う。そして一人咳き込みながらも、なかば機械的に淡々と聖体拝受を行うトーマス。やがて聖餐式は終わり、やれやれと倒れそうになりながら部屋に戻った彼に、漁師である夫ヨーナスを連れて妻カーリンが相談に訪ねてくる。ヨーナスは、中国が原爆開発を行っているのではという最近の報道で、漠然とした絶望感と虚無感にとらわれ、生きる意志を失いつつあるというのだった。 [more] | [投票(4)] |
★3 | 鏡の中にある如く(1961/スウェーデン) | 北欧の孤島、白夜の季節。おぼろげに光る海から、はしゃぎ声と共に四人の姿が見える。小説家のデヴィッドと、娘カーリンとその弟ミーヌス、そしてカーリンの夫マルティンだ。やがて姉弟はミルクを取りに出掛け、その間、海辺に残って魚網の用意をする男二人。やがてマルティンは、書いたが結局間に合わなかった手紙の内容をデヴィッドに告げる。「友達の精神科医によれば、カーリンが小康状態を長く保つ保証はないんだ…。」その頃、仲良くじゃれあいながら歩く姉弟。カーリン「カッコウの声が聞こえるわ」ミヌース「聞こえないよ」カーリン「ショック療法のせいかしら?…」 [more] | [投票(3)] |
★4 | シルビーの帰郷(1987/カナダ) | 「祖父は平原に生まれた。世界中がそんな平原だと思っていた。だが、ある日山の存在を知り、山の虜になった。そんな祖父は、山に囲まれた湖の上を走る汽車に乗ったまま沈んでしまった」―その湖近くの、とある北米の田舎町の実家へ、父を知らない赤毛のルーシーとルシールの姉妹は母に連れられ向かう。母は二人の子を祖母に残し、空色の車に乗ったまま、祖父の眠る湖に沈んでしまう。やがて、時は経ち、祖母も亡くなり、今は大叔母二人に育てられている姉妹。どこか町にも家にも学校にも馴染めず、二人だけの世界を築いているようだ。そこへ、放浪癖のある叔母シルビーが何十年ぶりかに帰郷した。この女性、そこそこ美人なんだけど、ちょっと全身にまとうオーラが…なんだかちょっとヘン? [more] | [投票(3)] |
★4 | シャンプー台のむこうに(2001/英) | ホグワーツではイヤ〜ミなスネイプ先生、宇宙船でもイヤ〜ミなDrラザラスは、イギリスの田舎町ヨークシャーはキースリーでもイヤ〜ミな理髪店主フィル。かつては「伝説のハサミ」と畏れられコンテスト荒らしの常連だったフィルは、10年前、三連覇がかかったヘアドレッサー選手権前夜、仕事上もパートナーだった妻とモデルに駆け落ちされて、すっかり斜に構えるように。息子ブライアン=助手ハートネット(copyright(c)ユシルア様)は、んなパパの店の勿論助手。絶縁状態(そらしゃーないわ)のママは、目と鼻の先で駆け落ちしたモデルと一緒に美容院を開いてる。んな中、あの忌まわしきヘアドレッサー選手権が、この町で開催されることに!はしゃぐ市長!?白ける一同? [more] | [投票(5)] |
★3 | 殺し屋1(2001/日=香港=韓国) | 「愛は、かなりイタイ」注意:粗筋もR18指定―新宿歌舞伎町。安生組が仕切るマンション。組長ことオヤジは女とオ○ンコ中、目障りと言われた子分は麻雀。「せめて廊下で見張りませんか?」と兄貴分にオドオド進言する金子(SABU)に息子からの電話(涙声で)「…パパ、いなくならないよね?」―所変わって、あるアパート。情夫が女の顔をグーでボコボコに殴りつけてる。「やめて!いや!いや…」男は女を犯す。それをベランダで覗くオドオドした男(大森南朗)が、コーフンして思わず植木鉢を倒す。「誰だ!」情夫が窓を開けるが誰もいない。鉢の植物に残された白いモノ…うにゅ〜と浮かび上がる「殺し屋1」。奴だ!「早くイチに会いたい!」つーか、浅野忠信は? [more] | [投票(10)] |
★5 | 叫びとささやき(1972/スウェーデン) | 忠告:この壮絶な命の「悲鳴と跪拝」に耐え得る精神力はおありですか? ―キン、キン、チン、キン…機械的な不協和音…スクリーンを支配するくすんだ朱色…やがてカメラは、すでに死神に憑かれたような、中年女性アグネスのやつれた蒼白の顔を映し出す。朝だ。彼女は目を覚ますと、かすれ濁った呼吸と共に涙を流し水を飲む。そして、おもむろに日記を開き、ペンを走らせる。「姉と妹が、わたしを見舞いに屋敷を訪ねてくれた…」と― [more] | [投票(11)] |
★4 | ソドムの市(1975/仏=伊) | 忠告:興味本位で手に取った貴方。遺言状を読む、心の準備はできていますか? ―鬼才パゾリーニが、マルキ・ド・サドの禁断の書『ソドムの百二十日』を、第二次世界大戦末期の北イタリアを舞台にして描き切った遺作。ファシスト・権力者である公爵・司教・大統領・判事の4人が、村から「完璧」(ちょっとスキッ歯だけでも失格!)な少年少女を16人に厳選する「地獄の入口」からスタート。その選ばれし者達と、3人の語り婆と1人のピアニスト、男前の親衛兵若干名を引き連れ、郊外の屋敷にしけこみ…なっ、なんなんだ、この『ヘアスプレー』ばりのゴキブリドレスを着たオバハンは?ピアノの調べにのって語りだしたぞ!結婚?検便?ウゲッ…とうとう始まってしまった…以下、変態地獄、糞尿地獄、血の地獄と四部構成からなる、ダンテも慄く阿鼻叫喚地獄絵図。 [more] | [投票(13)] |
★4 | 花を摘む少女と虫を殺す少女(2000/日) | ヴェロニカは、ドイツから「バレイ」と「誰かと恋に落ちる」ためロンドンにやって来た。ホテル清掃のバイト、英会話学校、バレイの練習に明け暮れ、戻るアパートは天窓のある最上階で、眠り、起き、「尿飲健康法」をやり朝を迎える。そんな日常のある日、次の舞台『ジゼル』の主役に抜擢され、しかも相手役のサイモンに愛の告白を受ける。だが、英会話のクラスメート、ケンと恋に落ちるのだった…■女優カホルは、日本から「行方不明の恋人カズヤを探す」ためロンドンにやって来た。そして、彼女が泊まるホテルの部屋は、ヴェロニカが清掃する部屋。映画的日常に生きる二人の少女は当然出会うことになる。「奇跡」のように…■前作から九年ぶりの矢崎監督の新作は、ロンドン留学中に凡てデジタルビデオを駆使して撮りあげた236分の長編で、メイキングとも登場人物インタヴューともそれ自体物語とも受け取れる「ドキュメンタリー」と「映画的物語」が交錯する。 | [投票(2)] |
★4 | ケラーマン(1971/米) | ソングライターのジョージーは、その名声と成功と反比例して、家族も友人も失い、NYの高級コンドで空虚で孤独な日々を送っており、七年も精神科医にかかっている。その癒せぬ心の空家を埋めるがごとく、中島みゆき『あの娘』並に色んな名前の女を、自慢のヘリに乗せ、NYの空を旋回、口説いてはベッドイン。ところが、最近、ハリー・ケラーマンと名乗る男が、女たちや友人に電話をかけては悪評を流すため、孤立、そのせいもあり彼は不眠症に悩まされていた。やがて交錯する昼と夜、過去と現在、夢と現実を、彼は夢遊病者のごとく彷徨う。ケラーマンを見つけるために、愛すべき人を見つけるために、失った自分を見つけるために…「ケラーマンって誰なんだ?なんで奴はオレについてヒドいことを言うんだ?」―一般的な作品評価は低いが、中堅女優バーバラ・ハリスがアリソン役の演技で高い評価を得オスカー候補に。ホフマン主演ながらレア未公開作品。 | [投票(1)] |
★5 | 東京物語(1953/日) | 周吉(笠智衆)ととみ(東山千栄子)の老夫婦は、末娘京子(香川京子)と尾道で暮らしている。夏、夫婦は、東京で暮らす子供達に会いに行く。下町の町医者の長男幸一(山村聡)の妻(三宅邦子)と腕白盛りの息子二人が待つ病院蒹家に、夫婦は、迎えの幸一と長女志げ(杉村春子)と共に到着。遅れて、八年前に戦死した次男の嫁で未だ独りの紀子(原節子)も到着。そして、夫婦は各々の家に泊まり、多忙な実子に代わる紀子の案内で東京見物を楽しみ、幸一と志げの計らいで熱海にまで足を伸ばす。やがて尾道に帰る日が来て、途中、とみに旅の疲れが出た為、計らずも大阪に住む三男敬三(大坂志郎)の顔も見ることができた、が…― 後に製作される『東京暮色』かこの『東京物語』かでタイトルを迷ったそうだ。 | [投票(2)] |
★4 | 夜になるまえに(2000/米) | 「キューバ、詩、カストロ、革命、ホモセクシュアル、亡命―ぼくには、伝えたい言葉がある」…キューバの亡命作家レイナルド・アレナスの劇的な生涯を、同名自伝を元に追った物語。片田舎で極貧の幼少時代を送ったアレナスは、キューバ革命への熱狂を経、ハバナへ移住。20歳で『夜明け前のセレスティーノ』により文壇デビュー。だが、当時のカストロ独裁政治下において、芸術家というだけで迫害の対象であり、その上、彼は同性愛者。ほどなく冤罪によって逮捕、逃亡、発見、そして投獄。厳しい監視下に置かれても創作をやめないのだったが…。題名の由来は、この自伝を逃亡中に書き始め、暗くなるまでに書かなければならなかったからだという。主演のバルデムは、全米映画批評家協会主演男優賞受賞、オスカー候補に。 | [投票(1)] |
★5 | キートンの探偵学入門(1924/米) | 昔の人は言ったもんさ「二兎を追う者は一兎をも得ず」って。でも、僕はあえてそれに挑戦してるんだ。僕は町の映画館の映写技師なんだけど、探偵修行中の身でもある。今『探偵学入門』を読んで勉強中。そんな僕が、ガールフレンドのパパの時計を盗んだって濡れ衣を着せられた。「もう家には来るな!」だって…トホホ。でもめげてる場合じゃない。今日も仕事なんだ。本日上映は『心と真珠』。これ、もう何度も見ちゃった…(~O~)ふぁ…(-_\)(/_-)ゴシゴシ…(=。=)アフ…… ウディ・アレン監督が『カイロの紫のバラ』でこの作品へのオマージュを捧げている。 o(_ _).。o○○《 (*^^)ノ・σ(^^*))。。》 | [投票(1)] |
★5 | 鬼火(1963/仏) | 生きていることが耐え切れなく痛ましい、30代前半のハンサムな既婚男性、アラン。その痛みを鈍らせるため酒浸りになり、ヴェルサイユの療養所に入院。別居中の妻はニューヨークから治療費を送っている。そして妻はアランの様子を知るため、彼を元よりよく「知る」女友達を偵察に送ったのだった…。―朝、ふたりが白いシーツの海にて目ざめるところから、映画は始まる。皆が言う「君は『治った』」と。果たしてそうなのか。寡黙ながら雄弁なカメラとサティのジムノペディの旋律が、そっとアランの跡を追う、それからの二日間。 | [投票(3)] |
★4 | 殺人に関する短いフィルム(1987/ポーランド) | 「黒猫の首吊り」― 「ある若者」はまるで舵を失った船のように、緩やかに暴走、まだイタズラと呼べる罪を犯しつつワルシャワの街を歩く。雑貨店で白い紐を買い、少女が写った古い写真の引き伸ばしを頼む。そしてカフェへ― 「弁護士の卵」は、弁護士になるための口頭試験中。死刑についての考察を問われ、模範的解答、そして見事合格。恋人の待つカフェへバイクを走らせる― 「タクシーの運転手」は、寒さの中で急用で待つ客を無視したり、散歩中の犬を驚かせたりと、意地悪い反面、黒い野良犬には、妻が拵えたサンドイッチを投げ与える― 「ある若者」がタクシーに手を挙げた…。『十戒』のひとつである「裁判を経ない殺人の禁止」をモチーフに、制度による暴力・死への反対を訴える。劇中の殺人シーンは約七分と映画史上最も長い記録なのだそうだ。 | [投票(4)] |