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[あらすじ] 婦系図 湯島の白梅(1955/日)

切れるの別れるのッて、そんな事は、芸者の時に云うものよ‥私にゃ死ねと云って下さい』明治の末、東京湯島に居を構える早瀬(鶴田浩二)は酒井教授(森雅之)の下で独和辞典の編纂にあたっていた。幼い頃孤児だった早瀬を我が子のように育てた酒井は、いずれは娘を早瀬にと考えていたが、早瀬には既に女房同然の女(山本富士子)がいた。だが、芸者上がりのお蔦の存在を言い出せぬまま時は過ぎいく。そんなある日、お蔦のことを知った酒井は早瀬に対し別れるよう厳命する。恩と愛情の板挟みに苦しむ早瀬は苦渋の末、お蔦を霧濃い湯島天神の境内に誘い出すのだった。3度目(注1)の映画化<大映/116分/白黒>
sawa:38

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけの解説です。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







(注1)正確には

1934/02/22 婦系図 松竹蒲田 野村芳亭

1942/06/11 婦系図 東宝映画 マキノ正博

1942/07/16 続婦系図 東宝映画 マキノ正博

1955/09/28 婦系図 湯島の白梅 大映東京 衣笠貞之助  (本作)

1959/10/01 婦系図 湯島に散る花 新東宝 土居通芳

1962/02/21 婦系図 大映京都 三隅研次

以上6作品であるが、42年版のマキノ正博は正続併せて一本とも見做せるので3度目のリメイクと致しました。

<実在するモデルたち>

本作に登場する元芸者のお蔦のモデルは、神楽坂芸者の桃太郎で、後の泉鏡花夫人です。

また早瀬は泉鏡花自身であり、師である酒井教授は『金色夜叉』の尾崎紅葉です。

PS.余談ではありますが、明治40年に新聞連載小説として発表された原作『婦系図』には湯島天神での『切れるの別れるのッて・・・』という名台詞はなく、後の大正3年に別れの場面だけを脚色しなおした『湯島の境内』として書かれた中に出てきます。

PS.さらに余談ではありますが、湯島天神は私の地元。舞台となっている狭い地域は、すべて私の実家のお隣近所である為、思い入れがちょっと強くなっています・・・ 有名な白梅は40年程前に地元の有志で募った青年たちが植えたものです。私の父もそのひとりだったそうです。是非一度、舞台となった境内を見に来て下さいませ。

(評価:★4)

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