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[あらすじ] 日曜日のピュ(1992/スウェーデン=デンマーク=フィンランド=アイスランド=ノルウェー)

1926年夏.スウェーデンの片田舎に暮らす8歳の少年ピュ.ある晩,ふと目を覚ましたピュは父と母の喧嘩を目撃してしまう.牧師である厳格な父の態度にひとり疑問を抱き悩むピュ.物語はそんなピュが初めて父と向き合ったある日の回想だ.淡々とした物語の背景として描かれる北欧の深い森,湖,たおやかな小川の流れ…これらの澄みきった風景は思わず溜息が出るほどの美しさ.さて,あれから40年の歳月が流れ,「ピュ」は年老いた父と再び向き合うことになるが….
じぇる

「ピュ」というのは固有名詞ではない.「子供」とか「坊や」みたいな意味だろうか.昔から日曜日生まれの「ピュ」にはほかの人には見えないものが見え,聴こえない声が聴こえるという言い伝えがある.しかし実際にそんなことがあるわけではない.全ての人がそうであるように,子供の頃には見るもの全てが新しく感じられるし,時には幽霊すら見えるかもしれない.自分が日曜日生まれであることを特に気にかけている8歳のピュは,やはり日曜日生まれであり牧師である父の本性を偶然「見てしまう」ことになる.父の厳格さ,傲慢さは単に信仰ゆえのものではないことを知り,ずっと葛藤してきた主人公.彼の父に対する思いは,結局劇中において明確に描かれるわけではない.ましてや何らかの和解があるわけでもない.しかしこの映画はあえて言葉に頼らず,語り尽くせない親子の絆と,父の苦悩を理解し許そうとする息子の態度をしっかりと描き出すことに成功している.

監督であるダニエル・ベルイマンの父イングマール・ベルイマンの自伝「Laterna Magica」をもとに作られた『日曜日のピュ』は『愛の風景』,『Private Confessions』に続く「両親」を描いた三部作の完結編であり,特に父との関係に焦点を当てた自伝的要素の強い作品.[118分]

(評価:★5)

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