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[あらすじ] オルランド(1992/英=仏=露=伊=オランダ)

絢爛華麗な文化花咲く1600年の英国。女王の寵愛を受けた貴公子オルランドは「汝、決して老いてはならぬ。其の若さを失はなければ、おまへと其の子孫に此の屋敷を授けやう」とのエリザベス I 世の言葉で不老不死になる。以後400年、愛と詩作、政治、社交に、ロシア、東方の国と世界を駆け抜けるオルランド。ある日、戦場をくぐり抜けた夜から6日間昏睡。目が覚めると女になった自分に気づき「同じ人間、何も變はらぬ…性が變はりたる丈」と淡々と呟く。女ゆえの財産没収との報せに、かえって桎梏から解き放たれ、身重の体でさらに戦火をくぐりつつ現代へと疾駆する……。バージニア・ウルフ同名小説の映画化でサリー・ポッターは鮮烈に現代を問う。
Amandla!

【1600年Death(死)】【1610年Love(愛)】【1650年Poetry(詩)】【1700年Politics(政治)】【1750年Society(社交界)】【1800年Sex(性愛)】【現代Birth(生誕)】 - 400年の時空を超え、性別をも乗り超えたオルランドがつかみ取った幸せとは?

 一見奇想天外・荒唐無稽に見えるが、女性にとってのリアリティを大胆かつ鋭く描写。映画にしかできない表現を創りあげ、「女の愛と自由とは何か」を問う(実際オルランドはカメラ=観客に向かってたびたび語りかける)ファンタジー。1992年テサロニケ映画祭グランプリ、93年スペインのカタロニア国際映画賞でベスト・フィルムの栄冠をかちとったほか、92年ヴェネツィア国際映画祭、93年シアトル国際映画祭、93年ヨーロッパ映画賞(European Film Awards)、94年BAFTA英国アカデミー賞(メイク・アップ・アーティスト賞!)など数々の賞に輝いた。

  【引用】

Orlando: "Same person. No difference at all... just a different sex." (同じ人間、何も変わらない……、性が変わっただけ)

  【ロケーション】

・ブレナム宮殿、ウッドストック、オックスフォードシャー、英国(Blenheim Palace, Woodstock, Oxfordshire, England, UK): ウインストン・チャーチルの生家として知られる英国最大のバロック建築。『エントラップメント』(99, ジョン・アミエル) 、『アベンジャーズ』(98, ジェレマイア・チェチック)、『ハムレット』(96, ケネス・ブラナー)、『恋の闇 愛の光』(95, マイケル・ホフマン) のロケでも使われた。→http://www.blenheimpalace.com/

・ハットフィールド・ハウス、ハートフォードシャー、英国(Hatfield House, Hertfordshire, England, UK: エリザベス1世が幼少時代を過ごしたという館。『トゥームレイダー』(2001, サイモン・ウエスト)、『恋におちたシェイクスピア』(98, ジョン・マッデン)、『アベンジャーズ』(98, ジェレマイア・チェチック)のロケでも使われた。→http://www.hatfield-house.co.uk/

 →http://www.aboutbritain.com/HatfieldHouse.htm

・ヒワ、ウズベキスタン(Khiva, Uzbekistan)→http://www.advantour.com/uzbekistan/khiva.htm

・サンクト・ペテルブルグ、ロシア(St. Petersburg, Russia)→http://www.petersburg-russia.com/

  【注意】

 日本語字幕版は戸田奈津子センセやったごたる。あぁ〜ん、もう、しぇからしか。

  【蛇足追加】

 1600年ってのは、日本では関ヶ原の戦いのころ。1603年に江戸幕府成立。なんとまあスケールの大きいお話。だから、あらすじの台詞の部分もその時代の言葉を使ってみようと思ったけれど、読みにくくなるので舊字舊仮名にとどめました。

  【参考文献・原作】

ちくま文庫版(1998年)『オーランドー』杉山洋子訳→http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4480034293/

みすず版ヴァージニア・ウルフコレクション『オーランドー―ある伝記』(2000年)川本静子訳→http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4622045087/

国書刊行会版(1992年、単行本)『オーランドー』杉山洋子訳→http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4336033951/

  【リンク】

"Orlando" fan site(英語)→http://www.geocities.com/Paris/Parc/8797/

The Tilda Swinton Lovers' Page→http://www.geocities.com/tildapage/

Virginia Woolf Web など(日本語のページあり)→http://orlando.jp.org/

Google Directory(英語)→http://directory.google.com/Top/Arts/Literature/Authors/W/Woolf,_Virginia/

Sally Potter Official Site(英語ですが英語は読めなくてもグラフィックが美しい。まだできたばかりのサイトらしく、コンテンツは少ししかありません)→http://www.sallypotter.net/

  【無修正公開第一号】(余談)

 東京税関は『オルランド』を輸入したフランス映画社に対し「公安又は風俗を害すべき書籍、図画、彫刻その他の物品」として輸入禁制品に該当すると通知した。問題となったのは、オルランドが女性になった自分を鏡の中に見つけるシーン。

 フランス映画社は、このシーンがテーマに深くかかわる重要なものだと判断し、1993年3月下旬、大蔵大臣に対して不服を申し立てた。関税等不服審査会(大蔵大臣の諮問機関)を経た結果、通知は取消しとなり、日本で初めて性毛を含む全裸シーンの無修正上映が実現した。

 不服申立てから通知取消し確定まで5ヶ月。従来、不服申し立てをしても何の保証もなく、資金と時間の空費を強いられるため、泣き寝入りし、やむなく該当個所にボカシを入れるなど修正してきた映画界にとって、快挙となった。

 この快挙をなしとげたのは、フランス映画社の故・川喜多和子さん(不服申し立て中の6月に亡くなった)。川喜多さんの残した功績はきわめて大きい。

 フランス映画社は、その後1997年にミケランジェロ・アントニオーニ監督とヴィム・ヴェンダース監督の共同作品『愛のめぐりあい』で、性毛描写をめぐり、今度は映倫管理委員会から修正を求められたことを不服とし、再審査を申し立てた。史上初の再審査申し立てだった。映倫の再審査委員会は当初の修整要求を撤回し、「修整を求めた部分は原形のままとする」との決定を出した。この時には、東京税関の審査では原形のままでの輸入を許可していた。

 大手配給会社は何もせず、これらの恩恵を享受するのみ(怒)。

 フランス映画社→http://www.bowjapan.com/

(評価:★5)

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