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tredairさんのあらすじ: 点数順

★5不良少女モニカ(1952/スウェーデン)不良というよりもむしろ享楽的で自己中心的、けれども言いようのない魅力を持つ野性的な少女モニカと、青年らしい生真面目さと優しさを持ちそこそこの暮らしをしつつも孤独を抱え込むハリーが出会い、恋におちる。そして彼らはともに旅をし一夏を過ごすのだが…。この映画で(たぶん)デビューしたハリエット・アンデルセンは、その後もベルイマン作品にしばしば出演し続けている。ので、もし「今からベルイマンをごっそり見るぞ!」と思う方には(その後の楽しみを増やすうえでも)最初の一本としてオススメ。ややビターな北欧の青春。その美しくも短い夏をとらえたモノクロの92分。[投票(1)]
★5セコーカス・セブン(1980/米)60年代末に反戦運動を通して知りあった7人の男女が、10年ぶりのある週末に久々に再会するというそれだけの話。撮影期間1ヶ月、制作費12万ドル(当時のハリウッド映画における1日分の制作費)で、出演者も監督の友人や無名の俳優ばかり。衣装は自前、ノーメイク、移動撮影ナシ、かつ、脚本や出演とともに編集もこなした監督は、レンタル編集機に付いてきた解説書と首っ引きでフィルムをつないだとのこと。そのようなショボいスタートではあったが口コミで話題を呼びロングラン。その年のロサンゼルス映画批評家協会最優秀脚本賞を受賞し、「タイム」等の各雑誌が選ぶベストテンにも選ばれる。後に『再会の時』としてハリウッドにもパクられた、少しトウが立った世代の106分の青春映画。[投票(1)]
★5ラスト・オブ・イングランド(1987/英)あらすじも何も監督自らが「ストーリーはありません。ちょっとしたラヴストーリーはありますが。セリフもない。1920年代の後半に誰かが無声映画にこれを持ち込んで、以来、映画は拘束されるようになってしまった。」と語る物語のない(けれど饒舌な詩を内包した)映画。すでにAIDSにおかされていた監督自身の現在の姿と、彼の祖父母が家庭用ビデオで撮影したという20年代末の中流家庭の様子、ロンドン郊外等の廃墟やそこをさまよう青年、そして、ちっともハッピーじゃない近未来の暴力的イメージ。サイモン・ターナーの音楽とともに様々な美が押し寄せ通り過ぎてゆく、めくるめく87分。この象徴的なタイトルは「ヴィクトリアン・バリューズ」から「ザ・デッド・シー」、「G.B.H(内容に問題あり、という意味らしい)」と変遷した結果、決定したものとのこと。[投票(1)]
★5キツツキはいない(1984/豪)日常のふとした瞬間に頭に思い浮かぶような、とりとめのない想像や奇妙な連想。それらをオムニバスとして映像化した、モノクロ12分30秒の実験的作品。当時のジェーン・カンピオンはルイス・ブニュエルに傾倒していたそうで、原題の「PASSIONLESS MOMENT」とは、心理学用語で「無為の瞬間」という意味であるらしい。同時上映の「ピール」は、少年がオレンジの皮を窓から投げ捨てたことをきっかけに、家族一人一人の内面があらわになってゆく作品(カラー、9分)。「彼女の時間割」は、かなり不幸な家庭環境にある、ちっとも可愛くない60年代の多感な少女たちをあたたかい視線で描いた作品(モノクロ、27分)。[投票(1)]
★5if もしも…(1969/英)イギリスの、とある伝統的な全寮制私立校。 校則が厳しく、指導官や監督生がかなり幅をきかせている。そのような環境の中で不満を募らせる反逆分子のミック・トラビス。親友のジョニー・ナイトリー&ウォーレスとたむろする部屋の壁には多くの戦争写真が飾られ、彼らはそこでこっそり酒を飲んでは喫煙する…。『八月の鯨』のリンゼイ・アンダーソンがイギリス時代?に撮った、『時計じかけのオレンジ』で有名なマルコム・マクダウェル主演の青春映画、112分。カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞。[投票(1)]
★5忘れられた人々(1950/メキシコ)メキシコシティのスラム街を舞台とした、愛に飢えた貧しい少年たちの救いようのない物語。「現実に忠実な映画」を撮りたかったブニュエルは、すでに撮影時から「それを良しとしないメキシコ人スタッフ」ともめたらしく、当地での公開後にはマスコミからもずいぶん叩かれたらしい。「お前は、33条(好ましくない外国人を国外追放する条項)適用だ。メキシコを侮辱しに来たガチュウピン(スペイン本国生まれのスパニッシュに対する蔑称)め!」とまで言われ、その波はメキシコだけでは留まらなかったとのこと。が、最終的にはカンヌ映画祭最優秀監督賞と国際批評家賞を得て国際舞台への復帰を果たす、記念碑的作品となる。現在においても強烈な、負け犬たちの81分。[投票(1)]
★5ヴォイス・オブ・ヘドウィグ(2006/米)LGBTQ(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、クィアの略称)の青少年を保護するための非営利団体「ヘトリック・マーティン・インスティテュート」の研究機関として発足し、2003年には正式な高校として新たに開校された「ハーヴェイ・ミルク・ハイスクール」。そこに通う4人の生徒たちの姿を追いつつ、同時にその高校のためのチャリティアルバム「WIG IN A BOX」(『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』のトリビュートアルバム)の制作に奔走するプロデューサーや協力ミュージシャン等の様子をもとらえた二重構造のドキュメンタリー。101分。[投票]
★5ピクシーズ ラウド・クァイエット・ラウド(2006/米)1980年代の後期から90年代初期にかけ活躍し、数枚のアルバムを残しただけで突然解散したオルタナバンド、PIXIES。本作は彼らが(これまた)いきなり再結成し大規模ツアーでファンをわかせた2004年の記録。なんだけれども残念ながらフジロックもジャパンツアーも入ってないの。でもケリーはちゃんと出てるわよ、BREEDERSファンにもオススメよ、な85分。[投票]
★5アクメッド王子の冒険(1926/独)世界初?の長篇影絵アニメーション。おなじみ千一夜物語から「飛ぶ馬」や「アラジンと魔法のランプ」「シンドバッドの冒険」等の有名なエピソードやモチーフ、キャラをとりだしオリジナル度満点にリミックスした65分。映画史的にも芸術的にも淀川語録的にも重要な作品とされつつサイレントということもあり滅多に上映されることのない幻作となっていたが、1999年にドイツで映像の修復が、続いて英国でオリジナル楽譜によるオケの収録がなされる。とはいえここまではまだ欧州でのDVD流通ベース、知る人ぞ知る。とゆーわけで2005年、日本の発案で遂に劇場用ステレオサウンド版ニュープリントが作成、満を持しての一般フィルム上映が開始される。[投票]
★5ザ・ブランク・ジェネレーション(1976/米)1976年のCBGBやマクシズ・カンサス・シティでのギグを集めたドキュメンタリー。全編これニューヨーク・パンクス。リチャード・ヘルとジョニー・サンダースが一緒に演奏している様はコレでしか見られない、と鳥居賀句は語っている。てゆーか、このジャンルには鳥居賀句しかいないの?16ミリ、モノクロ、60分。[投票]
★5帽子箱を持った少女(1927/露)郊外の家に祖父と一緒に住み、帽子を作ってはモスクワの店へおさめて暮らすナターシャ。そんなナターシャにぞっこんの鉄道員フォーゲロフ。モスクワへ向かう途中の汽車でナターシャと知りあう、苦学生のイリヤ。それだけでもややこしいことになりそうなのに、納品先の帽子店経営夫婦、イレン夫妻とのちょっとした騒動もあって…。バルネットの初の長編にしてサイレント時代の代表作でもある68分のコメディ。主演のアンナ・ステンはこの作品で大成功をおさめ、ドイツ映画のオファーを受けた後、最終的にはハリウッドへ渡ったとのこと。[投票]
★5青い青い海(1935/露)大嵐のカスピ海。難破した船が打ち寄せた小さな島。その島の漁師たち(コルホーズの人びと)から助けられた、船の機関士アルーシャとユスフ。もともとそこのコルホーズへ派遣されるはずだったアルーシャとユスフは、そのまま小島で働きはじめる。やがてその若き青年たちは、美しい娘マーシャと出会い、ふたりそろって彼女に一目惚れ。無二の親友同士だったふたりは、いつしか恋のライバルとなってしまう…。ゴダールに「女は女である」を撮らせるきっかけともなったという、のびやかな青春映画71分。ヒロインを演じるエレーナ・クジミナは、当時バルネットの妻であったそうだ。[投票]
★5サン・ソレイユ(1982/仏)世界中を旅するカメラマンから受けとった手紙。それを朗読する女性の声と、そのカメラマンが目撃した映像の記憶。その映像は時空間さえも越え、過去や未来、南の象徴としてのアフリカや東の象徴としての日本などを通し、西洋の現在を顕わにしてゆく。タイトルの「サン・ソレイユ」とは「日の光もなく」という意味で、ムソルグスキーの歌曲から引用したもの。オリジナルの仏語版以外にも、英語版、独語版、そして日本語版があり、それぞれナレーション(つまり手紙の読み手)が違っている。ちなみに日本語版は池田理代子が担当しているが、たまさか彼女をテレビで見かけた監督による直々のご指名だったとのこと。ロンドン映画祭BFI賞受賞。100分。[投票]
★5昇天峠(1951/メキシコ)制作者でもあるアルトラギーレが、妻のマリア・ルイサとともにアカプルコからシワタネホへ旅行した際の体験をもとにした作品。メキシコの、教会さえないような田舎町に住む三人兄弟の末っ子オリベリオが、母の願いを叶えようとバスで町を目指し戻ってくるまでの珍道中。かなり密度の濃いバス旅行の様子なのだが、ブニュエルは後に「現実はこんなに"濃密である"はずがない。」とも語っている。また、この映画は途中で資金が尽きたため、(ブニュエル的には)最後まで撮り終えた気がしていないとのこと。なぜかカンヌ映画祭最優秀前衛映画賞受賞。[投票]
★5美しき冒険旅行(1971/英)オーストラリアの砂漠の真ん中で、突然自ら命を絶つ父親。取り残されてしまった都会育ちの少女とその弟は、飢えや渇きとたたかいながら町を目指す。やがて目の前にアボリジニの少年が現れ…。撮影監督出身のニコラス・ローグによる、美しくも残酷な映像&物語。なお、この映画でデビューしたアボリジニの少年、デビッド・ガルピリルは、アボリジニの伝統的な踊りや楽器(ディジェリドゥというらしい)の優れた継承者でもあるとのこと。アボリジニを演じる役者としても活躍し続けている彼は、『クロコダイル・ダンディー』や『裸足の1500マイル』等にも出演している。[投票]
★5めぐり逢う朝(1991/仏)実在したヴィオール奏者、サント・コロンブとその弟子マラン・マレの16年間に渡る愛憎関係を通し「真の芸術の探求」という普遍的なテーマにせまった作品。ヴィオールとはバロック時代にもてはやされた弦楽器で、ホールよりも室内での演奏に適していたこと等から、音楽が大衆化し大音量が求められるに連れ(モーツァルトの時代には)姿を消してしまった古楽器。バロック音楽の再評価の高まり等で近年になって見直され、この映画が公開された当時は「古楽ブーム」となりサントラもヒットした。ドパルデュー親子の初共演でも話題を呼んだ115分。[投票]
★5小間使の日記(1963/仏=伊)フランスの片田舎に屋敷を持つブルジョワ一家。パリからやって来た女中のセレスティーヌ(ジャンヌ・モロー)は、この家のモンテイユ老人のお世話係だ。さっそく老人に気にいられたセレスティーヌは、足フェチの彼に頼まれお気に入りの靴を履いてみせてあげるが…。というのはほんのさわりで、見どころはなんと言っても彼女をめぐるアヤシイ人々。また、中盤で生じるある殺人事件にしたがい物語がふくらんでいくので、ブニュエルの作品にしては起承転結がはっきりしている。これ以降コンビを組むことになる脚本家ジャン・クロード・カリエールとの初共同作品でもあるので、(裏読みさえしなければ)ブニュエル入門編としてはお薦めの1本。かも。ジャンヌ・モロー主演の98分。[投票]
★4欲望のあいまいな対象(1977/仏=スペイン)「コンチータという名の女」に夢中になり、さんざんふりまわされる老紳士、ワチウ。金品をプレゼントしたり家族に援助したり家を買い与えたりととにかく尽くし、国境をも越えて彼女を追いかける。けれども、マチウの懸命の努力にも関わらず、「コンチータという名の女」は彼をさんざん挑発しつつも最終的には彼を徹底的に拒絶し続ける…。ブニュエル曰わく「欲望のあいまいな対象とは女性でも性でも精神でもなく、彼の欲求不満である。それが彼の欲望をより刺激するのだ。」この映画は(ブニュエルによると徹底的に計算しつくしたらしい)配役の妙味に最大のおもしろさがあるので、よーく注意して見てください。104分。[投票(6)]
★4キッズ・リターン Kids Return(1996/日)いつの時代かと言われるとちょっと困るような設定の、どうやら下町。高校生のマサルとシンジは今日も仲良くバカばっか。どっちかと言うと兄貴分のマサル、一見おとなしそうなシンジ。周りには漫才師を目指すコンビや喫茶店の女にいれあげてる奴、どうしようもないダメダメ不良グループなんかもいて、みんなそれなりに青春している。でも、本当にやりたいことはみつからないマサルとシンジ。なんだかプスプスくすぶりっぱなしの日々。そんなある日、ひょんなことをきっかけにふたりはボクシングと出会い、ジムに通いはじめるが…。北野武の映画らしく、ちゃんといつもの「スネに傷を持つ人々」も登場する108分。[投票(5)]
★4昼顔(1966/仏)青年医師であるやさしい夫を愛してはいるが肉体的なヨロコビにおいては満足していない妻、セヴェリエーヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)。しばしば性的妄想に耽っていた彼女は、ある日、女友だちから高級売春宿の存在を教えられる。やがてセヴェリエーヌは「昼顔」という名でそこで働きはじめ(もちろん夫にはナイショでーす)、その上品で貞淑な美貌のため、たちまち人気者となっていくが…。ブニュエルがドヌーヴとコンビを組んだ第1作、100分。最初、ブニュエルを理解できなかったドヌーヴは「何故こんなことをしなければならないのか分からない。」とスタッフに漏らしていたそうで、「ブニュエルが命じたとおりに振る舞うことです。」と説き伏せられたとのこと…。[投票(5)]