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tredairさんのあらすじ: 投票数順

★4この庭に死す(1955/仏=メキシコ)ダイヤモンドを埋蔵する南米某国某村には、一攫千金を夢見る男たちや彼らを相手とする商売人や山師がたんまり。が、ある日、政府軍が鉱山の独占政策を宣言したことで村中は騒然となり…。流れ者のシャーク、商売女のジン、ジンにぞっこんの老やもめカスタンと口の不自由なその娘マリア、カリスマ性のかけらもないリサルディ神父などなど。この先の彼らの運命は、はてさてどうなってゆくのでしょうか。ブニュエルの話によると、後半いきなりサバイバルに突入するこの映画は、「裏・皆殺しの天使」でもあるそうです。[投票]
★5サン・ソレイユ(1982/仏)世界中を旅するカメラマンから受けとった手紙。それを朗読する女性の声と、そのカメラマンが目撃した映像の記憶。その映像は時空間さえも越え、過去や未来、南の象徴としてのアフリカや東の象徴としての日本などを通し、西洋の現在を顕わにしてゆく。タイトルの「サン・ソレイユ」とは「日の光もなく」という意味で、ムソルグスキーの歌曲から引用したもの。オリジナルの仏語版以外にも、英語版、独語版、そして日本語版があり、それぞれナレーション(つまり手紙の読み手)が違っている。ちなみに日本語版は池田理代子が担当しているが、たまさか彼女をテレビで見かけた監督による直々のご指名だったとのこと。ロンドン映画祭BFI賞受賞。100分。[投票]
★5昇天峠(1951/メキシコ)制作者でもあるアルトラギーレが、妻のマリア・ルイサとともにアカプルコからシワタネホへ旅行した際の体験をもとにした作品。メキシコの、教会さえないような田舎町に住む三人兄弟の末っ子オリベリオが、母の願いを叶えようとバスで町を目指し戻ってくるまでの珍道中。かなり密度の濃いバス旅行の様子なのだが、ブニュエルは後に「現実はこんなに"濃密である"はずがない。」とも語っている。また、この映画は途中で資金が尽きたため、(ブニュエル的には)最後まで撮り終えた気がしていないとのこと。なぜかカンヌ映画祭最優秀前衛映画賞受賞。[投票]
★4ビッグ・タイム(1988/米)劇場で働く男としてのドラマ部分と、トム・ウェイツ本人としてのライヴ場面を巧みに融合させた不思議な音楽映画。ライヴ場面には観客がいっさい映っていないのだが、それは「映画が撮影された当時の年月」をフィルムに残さないための策だったとか。[投票]
★5美しき冒険旅行(1971/英)オーストラリアの砂漠の真ん中で、突然自ら命を絶つ父親。取り残されてしまった都会育ちの少女とその弟は、飢えや渇きとたたかいながら町を目指す。やがて目の前にアボリジニの少年が現れ…。撮影監督出身のニコラス・ローグによる、美しくも残酷な映像&物語。なお、この映画でデビューしたアボリジニの少年、デビッド・ガルピリルは、アボリジニの伝統的な踊りや楽器(ディジェリドゥというらしい)の優れた継承者でもあるとのこと。アボリジニを演じる役者としても活躍し続けている彼は、『クロコダイル・ダンディー』や『裸足の1500マイル』等にも出演している。[投票]
★4がんばれ!スヌーピー大旋風(1977/米)サマーキャンプに出かけたチャーリーたち一同。スヌーピーもウッドストックと一緒に(イージーライダー気分で)バイクで後を追いかける。やがて全員は合流し、そこで出会ったイジワル3人組に妨害されつつも様々なレースに挑戦する…。劇場公開時のタイトルは「がんばれ!スヌーピー」のみで、残念ながら地方での拡大公開はなされなかったとのこと。スヌーピーの劇場長編第3作にして初の映画用完全オリジナル。さりげなく当時の世相も反映させた75分。[投票]
★4ガールファイト(2000/米)学校にも家庭にも居場所を見いだせず閉塞状態にあったブルックリン在住の女子高生、ダイアナ。弟の月謝を払いに行ったことでボクシングと出会い、たちまちその世界に魅了される。少々偏屈なトレーナー、ヘクターにようやくコーチを受けるようになったダイアナは、熱心にトレーニングを重ねるうち心身共に成長を遂げてゆくが…。日系アメリカ人カリン・クサマによる、ヒスパニックの映画。印象的なフラメンコのリズムではじまる110分。[投票]
★4予告された殺人の記録(1987/仏=伊=コロンビア)ラテンアメリカのどこかにある小さな村。鉄道も走らぬこの閉鎖された川沿いの村に、ある日、見慣れない男、バヤルドがやって来る。彼は広場で見かけた美しい娘、アンヘラに一目ぼれし強引に求婚。バヤルドがかなりの金持ちであるらしいということから家族に説得され、アンヘラはそれを承諾。が、初夜に新婦が処女ではないと知ったバヤルドは、(しょんぼりして)アンヘラを母のもとへ突っ返す。驚いた家族は彼女からその「お相手」を聞き出し、アンヘラの双子の兄弟は、そこで登場した村でも屈指の色男、サンティアゴへの復讐を誓う。そして、村中が事前に知っていたという「予告された殺人」が、白昼堂々と行われようとする…。キャストも含め、濃い雰囲気ムンムンの1時間50分。原作は、ノーベル賞作家にして映画制作者でもあるガルシア・マルケス。[投票]
★3暗黒の恐怖(1950/米)様々な国からの移民でにぎわうニューオリンズのとある町で、ある日、密入国者の死体が発見される。その死体を調べたところ空気感染する伝染病にかかっていることがわかり、潜伏期間の48時間をタイムリミットに、衛生局の医師と刑事は「保菌者=殺人犯」を探し回る…。まだ若い行政サイドの医師とベテラン刑事との対立や友情。警察機構vsマスコミのたたかい。組織内における上層部と現場の確執。仕事に追われる夫とその妻の夫婦愛等々。『アウトブレイク』や『踊る大走査線』の元祖?!ともとれる93分。[投票]
★3ナイルの娘(1987/台湾)母を失って以来、父や兄シャオファンとともに暮らす孤独なシャオヤン。彼女にとっては「ナイルの娘」だけが心のよりどころだ。これは日本の漫画「王家の紋章」で、彼女はそのロマンティックな物語のヒロインに自分を重ね合わせ、また、兄の友人であるアーサンをヒーローにみたてては密かに憧れている。けれどもある日、もともと不良仲間だった兄とアーサンはとある事件にまきこまれて…。ホウ・シャオシェンによる台湾産のアイドル映画。「恋恋風塵」と「悲情城市」の間に撮られた84分の小品。[投票]
★3結婚(1993/日)<第1話>長尾啓司による豪華絢爛なラブコメ。オーストラリアを舞台に、大金持ちの青年実業家(中井貴一)と芦屋の令嬢を装ったフツーのOL(鷲尾いさ子)との恋の駆け引きが繰り広げられる玉の輿モノ。<第2話>鈴木清順によるスラップスティックコメディ。スターの座を獲得するために有名女優(原田貴和子)との結婚をたくらむ売れない役者(陣内孝則)と、そんな彼に恋する高校時代の後輩(原田知世)の結婚騒動、つまりドタバタ。<第3話>恩地日出夫によるハートウォーミングな片想い叙情。北海道の港町でたった一つの「約束」を信じて男を待ち続ける女(名取裕子)と、そんな彼女の気持ちを知りつつもそばを離れられない男(佐藤浩市)のオトナの恋愛。[投票]
★3モダーンズ(1988/米)1920年代のパリ。アメリカからやって来た売れないイラストレーターで贋作の達人でもあるニック・ハート(キャラダイン)、正体不明の実業家で元フーディーニの弟子とも噂されるベルトラン・ストーン(ローン)、そして二人を翻弄するあどけないファムファタール、レイチェル(フィオレンティーノ)。ヘミングウェイやガートルード・スタインなど実在の人物も登場し、美術や衣装、音楽も含め、当時のパリの風俗を鮮やかに再現。3人の恋の行方を縦糸に、セザンヌ、モジリアニ、マチスの贋作をめぐるちょっとした事件も展開される。キース・キャラダインジョン・ローンのボクシング対決も(たぶん)見どころな128分。[投票]
★4カルメン(1983/スペイン)メリメの有名な戯曲をフラメンコシーン盛りだくさんの異色ミュージカルとして映画化。舞台でカルメンを演じるカルメン(本名もカルメンという設定。ややこしくてすみません。)とドン・ホセを演じるアントニオの現実世界での恋物語が、舞台で演じられるシナリオと交錯していくという、これまたややこしい構成。アントニオ役のアントニオ・ガデス(これもややこしいなぁ。)は自ら舞踏団を主宰するフラメンコ界のカリスマだそうで、この作品の振り付けも一手に引き受けているとのこと。同年に制作されたフランチェスコ・ロージによる同原作の映画「カルメン」でも振り付けを担当しているそうなので、見比べてみるのもよいかもしれません。ガデスに魅せられる101分。[投票]
★5めぐり逢う朝(1991/仏)実在したヴィオール奏者、サント・コロンブとその弟子マラン・マレの16年間に渡る愛憎関係を通し「真の芸術の探求」という普遍的なテーマにせまった作品。ヴィオールとはバロック時代にもてはやされた弦楽器で、ホールよりも室内での演奏に適していたこと等から、音楽が大衆化し大音量が求められるに連れ(モーツァルトの時代には)姿を消してしまった古楽器。バロック音楽の再評価の高まり等で近年になって見直され、この映画が公開された当時は「古楽ブーム」となりサントラもヒットした。ドパルデュー親子の初共演でも話題を呼んだ115分。[投票]
★3巴里を追いかけて(1987/仏)ヌーヴェル・ヴァーグが花開く直前のパリを舞台とした、シネクラブ創設を夢見る若者たちの恋愛&青春ドラマ。数々の既存映画に対するオマージュ場面はそのオタクぶりが無気味で笑うに笑えないが、その引用場面にこそこの映画の醍醐味がある(と思われる)。1988年イスタンブール映画祭グランプリ受賞。トリュフォーやゴダール好きは必見?!の114分。[投票]
★4ナサリン(1958/メキシコ)メキシコのスラム街。そこで暮らしてこそ真の信仰を得られると信じる神父ナサリンは、誰でも出入り自由なアパートに住み、いつも大勢の人々に囲まれている…、と始まると何やら心温まる話のようだが、これはそんなに甘い話ではない。匿ってほしいとやって来た殺人犯のアンダラを部屋に通したことで彼はトラブルに巻き込まれ、その後は彼女と、途中から加わるもう一人の女ベアトリスと一緒に、受難続きの巡礼の旅をすることになるのだ…。主人公が神父ということもあり宗教的な見解で語られることが多いが、ブニュエル本人は「この映画はカトリック的でも反カトリック的でもない。」と述べている。原作は、『哀しみのトリスターナ』と同じくベニト=ペレス・ガルドスで、ブニュエルは亡命中に彼の作品にはまったとのこと。94分。[投票]
★4ビリディアナ(1961/スペイン)修道院で暮らしていた若く敬虔なビリディアナは、修道女誓願式を目前に控えたある日、経済的援助を受けている伯父の屋敷に呼び出される。疎遠にしている伯父に会うのは気が引けるものの田舎の領地に向かったビリディアナは、その美しさゆえに彼に見初められてしまい…。どんな目にあってもあくまで信仰の道を歩もうとするビリディアナと、そんな彼女の思いをあざ笑うかのようなかなりブラックなエピソードの数々。ブニュエルに言わせれば「ビリディアナはスカートを履いたドン・キホーテなのだ。」であるらしい93分。[投票]
★5小間使の日記(1963/仏=伊)フランスの片田舎に屋敷を持つブルジョワ一家。パリからやって来た女中のセレスティーヌ(ジャンヌ・モロー)は、この家のモンテイユ老人のお世話係だ。さっそく老人に気にいられたセレスティーヌは、足フェチの彼に頼まれお気に入りの靴を履いてみせてあげるが…。というのはほんのさわりで、見どころはなんと言っても彼女をめぐるアヤシイ人々。また、中盤で生じるある殺人事件にしたがい物語がふくらんでいくので、ブニュエルの作品にしては起承転結がはっきりしている。これ以降コンビを組むことになる脚本家ジャン・クロード・カリエールとの初共同作品でもあるので、(裏読みさえしなければ)ブニュエル入門編としてはお薦めの1本。かも。ジャンヌ・モロー主演の98分。[投票]
★2長く熱い夜(1958/米)ある日、オールドミス(とは言ってもまだ20代前半…。)である姉(ジョアン・ウッドワード)と、そのできの悪い弟(アンソニー・ブランシオーサ)の脳天気な妻(リー・レミック)は「放火魔」という異名を持つベン・クイック(ポール・ニューマン)を車で拾う。彼は放火犯として他の村から追われてきた身なのだが、彼女たちの威圧感たっぷりの父親(オーソン・ウェルズ)はすっかり彼を気に入ってしまい…。 ポール・ニューマンはこの作品でカンヌ映画祭男優賞を受賞。また、現在の妻であるジョアン・ウッドワードとの初共演作でもあるらしい117分。[投票]
★3宋家の三姉妹(1997/日=香港)実話をもとにした中国の有名な三姉妹の物語。第二次世界大戦前、クリスチャンでもあるリベラルな両親に育てられた宋家の三姉妹は、アメリカ留学から帰国し、それぞれ全く違う個性を持つ相手と結婚する。 長女(ミシェール・ヨー)は財閥の御曹司と結婚し、さらなる大財閥を築いてゆく。次女(マギー・チャン)は革命家の孫文と結婚し、中国統一の象徴的存在になってゆく。そして三女(ヴィヴィアン・ウー)は、粗野ではあるが才能ある軍人・蒋介石(後の台湾総統)と結婚し、やがて歴史に名を残す立場へとなってゆく…。香港返還の1997年に制作された145分。[投票]