明治２８年の北関東のとある村。人力車夫の儀三郎（田村高廣）と妻せき（吉行和子）は２人の子供に恵まれ貧しいがささやかな安らぎの日々を送っていた。だが、４０歳を超そうかというのに３０そこそこにしか見えないせきは女盛りで毎日疲れて帰って来て焼酎を飲んで直ぐに寝てしまう儀三郎をつれなく思っていた。そんな頃、兵隊帰りの若者、豊次（藤竜也）が儀三郎の家に顔を出すようになる。饅頭を土産にやって来ては話し込んで行く豊次の自分に向けられた熱い視線にせきは、思わず顔を赤らめるようになる…。７８年カンヌ国際映画祭監督賞、毎日映画コンクール音楽賞受賞。