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[あらすじ] 不知火檢校(1960/日)

貧乏長屋生まれの盲の少年の七之助は、幼な馴染みの低能児・留吉と組んで詐欺まがいの行為を繰り返してきた。十年後、高名な検校・不知火(荒木忍)に弟子入りし名を杉の市(勝新)と改めた彼は、街道筋で喘息の発作に苦しむ浪人を鍼で殺害、金二百両摂取するところを”やくざ”の生首の倉吉(須賀)に目撃されてしまう。倉吉は鳥羽屋の丹治(安部)を首魁とする強盗団の片割れで江戸を落ちる途中であったが、同じ体臭を嗅ぎ付けた市は得意の饒舌で彼に取り入り丹治への渡りをつける。こうして杉の市、後の不知火検校の悪行三昧は本格化していく。そしてその最初の餌食となったのは藩士・岩井藤十郎(丹羽)の妻で親の使い込みに悩む浪江(中村玉緒)であった。
町田

原作は宇野信夫の新作歌舞伎。中村勘三郎(現・勘九郎の父)主演の舞台版を見、感激した勝は自らの主演で映画化することを熱望、難色を示す大映社長・永田雅一を説き伏せ、松竹が勘三郎主演で狙っていた映画化権を見事奪い取る。当時まだ白塗りの時代劇スターというイメージで売り出されていた勝は、自ら盲学校に通い盲人の動きや言葉を研究し役作りに没頭、新境地を切り開く。そしてこれは二年後の『座頭市物語』で結実する。

中村玉緒が自ら語るところによると、この時まだ彼女は男を知らず、市に襲われるシーンでの微妙な表情は「勝の頭がジャリジャリくすぐったく懸命に笑いをこらえていた」からだそうで、監督の森一生はそれをそのままOKテイクとした。その勝と翌年(『悪名』の制作前後)結婚するのは周知の通り。

(評価:★5)

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このあらすじを気に入った人達 (1 人)山本美容室

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