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[あらすじ] ひかりごけ(1992/日)

「一番先に死にたくない。おめえたちに喰われたくないから・・」昭和19年、軍の徴用船「第五清神丸」が極寒の知床で遭難し、4人の男が命からがら近くの洞窟に避難してきた。だが、救助の見込みはなく、食糧がない状況では餓死するのを待つだけだった。やがて男たちは衰弱していき・・・そして遭難から2ヶ月も経ったある日、ひとりの男が奇跡的な生還を果たし、「奇跡の神兵」と称えられた。だが、彼はいったい何を食べて生き延びてきたのか?★実際に起こった事件を元に武田泰淳が発表した『ひかりごけ』を映画化している。moreは実際の事件概要。
sawa:38

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけの解説です。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







原作は2部構成になっており、前半は地元の校長から作者が事件の概要を聞かされるという紀行文。そして後半は法廷を舞台にした戯曲形式になっており、映画化された本作は原作に忠実に仕上がっている。

実際の事件で遭難した乗組員は計7名だが、無事に上陸できたのは船長の黒石と当時18歳の西川のふたりだけだったという。西川は推定で45日目に餓死し、その2,3日後に浜の番屋で船長によって解体され、味噌汁の「具」にされたという。

しかし、後に上陸地点近くから3名の遺体が発見されたが、残る2名は未だ発見されず、船長と西川が「食糧」として食したと推定されている。

逮捕された船長は検事から、そのときの味を訊かれて、「未だ経験したことのないほどおいしかった」と答えている。さらに、「脳みそを食べたときがもっとも精力がついたような気がした」と言った。

船長の罪は殺人ではなく、死体損壊で懲役1年で確定した。

ただし、当時は敗戦間近であり、ニューギニアなどの南方戦線では戦死よりも餓死・病死が上回っていた時期でもあり、遺体を食べて飢えをしのぐ行為は常識になっていた。当時の南方司令部では異例の通達を発令している。

「なにびとといえども人肉をそれと知りながら食したる者は、最も人道に反した者として死刑に処す。但し、敵の人肉はその限りにあらず

つまり殺人事件と同列に扱っている。敵兵のアメリカ人・オーストラリア人ならば殺人ではなく、国家命令による戦闘の結果による為、彼らは「餌」「食糧」として認めたのである。

(評価:★3)

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