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[あらすじ] ニキ・ド・サンファル 美しい獣〈ひと〉(1994/独)

「モンスターは誰?あなた?あたし?」 女として生きることを問い直し、魔女・娼婦などへの抑圧や女は結婚して子どもを産むものという価値観を問い直した「ナナ・シリーズ」で評価を得て以来、美術、建築などの分野で活躍する造形アーティスト、ニキ・ド・サンファル(1930-2002)が成長し、変化を遂げていく過程を描いた半生ドキュメンタリー。
Amandla!

「モンスターは誰?あなた?あたし?」はドイツ語題名 "Wer Ist Das Monster - Du Oder Ich?" の日本語訳。

1930年フランス生まれの現代美術造形作家。2002年5月21日米カリフォルニア州サンディエゴで死去、享年71歳。高卒18歳でヴォーグ、ハーパースバザー、ライフ誌等のモデルで活躍。/61年《射撃画》パーフォーマンスでニキ自身は「テロリストになる代わり、美術界のテロリストになった」と語っている。62年魔女・娼婦などへの抑圧や、女は結婚して子どもを産むものという価値観、女として生きることを問い直す一連の《ナナ》シリーズ初の作品で国際的な評価を確立。/67年モントリオール万博でフランスのパビリオンのために〈幻想庭園〉を製作。/72年映画『ダディ』(原作・主演)をペーター・シャモーニーと共同製作。/79年トスカーナに庭園《タロット・ガーデン》建設開始。94年栃木県那須にニキ美術館開館。/98年《タロット・ガーデン》完成――アーティスト、ニキの《射撃画》から《タロット・ガーデン》完成までの半生を描いたドキュメンタリー。

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 この映画については、どんな風に書いてもネタをバラすのは不可能だと思います――たとえ再録シナリオを丸写ししようとも――ニキの動いている姿は見えないし、発言も聞こえませんから。百聞は一見にしかず。色彩豊かなナナ・シリーズを作ったニキの人柄を映像で活写。

 この映画を観て関心を抱き、ファンになった人はたくさんいらっしゃいます。美術に関心のある方なら、多分興味深く観ることができるでしょう。美術に関心がなくても大丈夫。

 上野千鶴子さんの『発情装置』を読まれた方は、表紙デザインや冒頭の口絵を覚えてませんか? あれがニキの作品。「あら、あの作品の人?」ということで親しみやすいかも。

 映画『ダディ』は、『発情装置』IV章「〈近代家族〉の精神分析」の中に取り上げられていますので、フェミニズム理論に関心のある方は、もういちど読み直してから観れば、上野さんのテクストの理解の助けになるかも。

 美術理論やフェミニズムとかではなく、美術と美術に生きる人を描いていますので難しい理屈抜きで感覚的に捉えられる、という見方もできると思います。というより、そういう人の方が多いと思うな。

 観る前に、ちょっとニキのことを知りたい人は、下に関連リンクをあげておきましたので前もって目を通しておけば、面白さ倍増。人となりと作品とは別ですから、決してネタバレにはなりません。

 お試しあれ。

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☆ニキ・ド・サンファルの公式サイト(英語ですが、ビジュアルなサイトの絵だけ見てても楽しい)

http://www.nikidesaintphalle.com/

☆監督ペーター・シャモーニーのフィルム・プロダクション公式サイト(ドイツ語)

http://www.schamoni.de/

☆パンドラ(配給)公式サイトのニキのページ(日本語)

http://www.pan-dora.co.jp/niki.html

☆ニキ美術館(那須高原にある。ニキ美術館へのアクセス、日本語のニキ年譜、主な作品の説明、リンクなど掲載)の公式サイト

http://www.int-acc.or.jp/niki/

☆Tarot Garten der Niki de Saint Phalle (ドイツ語)

http://www.lars-klein.de/Berichte/Niki.html

☆ニキ、リンク集(英語)

http://www.bluffton.edu/womenartists/ch11(20c)/saintphalle.html

☆ニキ、リンク集(日本語)

http://www.blink.co.jp/go?page=ShowShare&args=5&arg0=vieworg&arg1=27426338&arg2=1172&arg3=false&arg4=Public

★参考文献

"Daddy's Girl"(『発情装置』上野千鶴子著、1998年、筑摩書房刊)→ニキ・ド・サンファルの映画『ダディ』(72)を題材に、その父権性を暴く構造を分析したもの。〈近代家族の精神分析〉の章にある。その上なによりも、表紙デザインにニキの作品を用い、冒頭口絵写真の最初の3枚もニキの作品、文中にもニキのイラストを使っている。「かつてこの種の申し出に一度も許可を与えたことがないと言われるニキ」がこれを認めたのは、「ニキの大ファンが昂じてついに那須に私設のニキ・ミュージアムを建ててしまった増田静江さん」。(本書より)

(評価:★5)

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