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[あらすじ] ピータールー マンチェスターの悲劇(2018/英)

ナポレオン戦争直後の1819年のイギリスで、地主を保護するために輸入小麦に高関税を課した穀物法のために食料が高騰し苦しい生活を強いられた労働者階級の間で、穀物法廃止の要求が高まり、その実現のために参政権獲得をめざす運動が盛り上がりつつあった。その最中、マンチェスターのセント・ピーター広場で工場労働者たちが参政権を求めて著名な運動家をロンドンから招いて、女性や子どもも多数参加する平和的な集会を開いたが、そこへ軍隊が突入して多数の死傷者が出た「ピータールーの虐殺」事件の史実を、マイク・リー監督が映画化。(155分)
シーチキン

セント・ピーター広場の事件は、ナポレオンを破ったものの多数の戦死者を出し悲惨な戦場と化した「ワーテルローの戦い(イギリス読みではウォータールーの戦い)」になぞらえて「ピータールーの虐殺」として、黎明期の「ガーディアン」紙などで報道されたらしい。

なお背景にある「穀物法」は、ナポレオン戦争が終了した1815年にイギリスで制定された法律で、ヨーロッパ大陸から安価な小麦が大量に輸入され小麦価格の暴落を防ぐために輸入小麦に高関税を課し輸入量も制限した。そのため当時のイギリス国内では小麦価格が暴騰し、同法によって利益を保護された地主階級と、物価高に苦しむ労働者階級と彼らを雇用する資本家階級との対立が激化し、穀物法廃止と自由貿易を求める「反穀物法同盟」なども結成された。

当時のブルジョアジー(資本家階級)も穀物法廃止を求め、さらに労働者階級が普通選挙権の獲得を求め、19世紀半ばに盛り上がった「チャーティスト運動」へと引き継がれていった。

なお「穀物法」自体は1846年に廃止され、地主階級に対するブルジョアジーの勝利として評価されている。

(評価:★3)

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