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[あらすじ] 用心棒(1961/日)

時は幕末。とある宿場街にふらりとやってきた一人の浪人。桑畑三十郎(三船敏郎)と名乗るその男は、街の真ん中にある飯屋の主人・権爺(東野英治郎)にやっかいになる。この街は支配するやくざ者達の後継者争いから、清兵衛一家(河津清三郎山田五十鈴太刀川寛他)と丑寅一味(山茶花究仲代達也加東大介他)の両者に分裂して睨み合いを続け、役人も全くの役立たずでさびれる一方だという。驚くほどの剣の腕前を持つ三十郎は、両者の様子を伺いつつ自分を売り込もうとするが、彼の狙いは争いの火種をこしらえて双方を争わせ、彼等邪魔者を一掃させるという大胆不敵なものだった……。
荒馬大介

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけの解説です。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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 「このまま西部劇でやっても面白くなりそうな話だ」。これはサムライ映画好きの友人の勧めで本作を鑑賞したクリント・イーストウッドの言葉だが、この数年後、自らの主演作となる映画の脚本を読み、「『用心棒』そのままじゃないか」と驚いたという。その映画とは、後に東宝とイタリアの映画会社との間で裁判沙汰にもなった『荒野の用心棒』である。

 腕が切り落とされたり、血が流れるという「血」の描写は『椿三十郎』と合わせて大きな話題となり、国内の時代劇だけでなく『荒野の用心棒』をきっかけとしてブームになった“マカロニウエスタン”に多大な影響を与えている。冒頭で犬が手首を咥えて歩くシーンも海外では話題となり「こんなのはサルバドール・ダリでも思いつかない」と評価されたこともあるという。また「血」だけでなく、殺陣で人が切られた時の「音」も時代劇では始めて使用された。なおこの音は、鶏肉に割り箸を突っ込みそこに包丁を差し込んだ音をベースにして作られたもの。

 撮影の際は、話の主な舞台となる馬目宿が3000万円の予算で建造され、そこで全シーンの8割が産み出された。空っ風を吹き荒らせるために巨大なプロペラやジェットがかき集められ、それだけで他の音が全く聞こえなくなるほどだったという。ちなみに吹きすさぶ砂埃は、旧陸軍射場の取り壊しがあると聴いた美術スタッフが、標的の後ろに詰まれた砂山の砂をもらってきたもの。これがセット中に撒かれ、出演者は目に砂が入って痛いのをまばたきもせずに我慢しながら撮影に挑んだという。

 ちなみに丑寅一味の方にいた大男・かんぬきを演じたのは、羅生門綱五郎という力道山時代に活躍した台湾出身のプロレスラーであり、勘違いしている方もいるがジャイアント馬場ではない。

(評価:★5)

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