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[POV: a Point of View]
メジャー指向の男達
ウーさんじゃなくてリーさんみたいになってちょんまげ

A:中田秀夫=本命 B:北村龍平=対抗 C:黒沢清=穴 D:周防正行=無印 E:原田真人=出走取消
A★4リング(1998/日)「呪いのビデオ」の出来がキーポイントだったと思うが、剣呑なササクレ感が横溢し、見せ切らないを良しとした時代を終焉させ怒涛のような悪意の奔流を現出させた。それを今更の安価な心霊ネタ都市伝説のプロトタイプに混在させて提示したのも戦略的に効いた。投票(1)
A★4女優霊(1996/日)すべてに於いて古式床しいオーソドックス風味が貫徹されているのが大器の片鱗を伺わせた。凄まじい悪意を持った得体の知れない何かが映るというモチーフは、『リング』にてバージョンアップし延伸される。タイトルバックにあった俯瞰ショットが良い感じだ。投票
A★4カオス(1999/日)正直凄く面白いアイデアでもないし中田演出は中谷美紀からエロスを抽出しようと躍起になっているが未だ力量不足の感がある。だが、もどかしいほどの遣り切れなさが横溢し随所でヒッチ乃至は伝統的ファムファタ−ルへの目配せがサビを効かせてる。投票
A★4仄暗い水の底から(2001/日)終盤で情緒過多なメンタリティに陥り予想を超える展開にならぬ物足りなさがあるが、神経症的不安感の表現に於いてポランスキーコーエンのレベルに迫ったと言えば誉めすぎだろうか。ともかく老朽マンションの美術やどしゃぶりの雨の効果など圧倒的。投票(1)
A★3サディスティック&マゾヒスティック(2001/日)良識人的風貌の小沼がSMという題材に傾倒する何かが露呈されたわけでもない。ただ真摯に付与の仕事に向き合ったのだとする中田の抑制には好感を持つ。谷ナオミとの邂逅シーンはさながら『インテルビスタ』のフェリーニエクバーグだ。投票
A★3リング2(1999/日)中田絶頂期であっただけに、超弩級のショッカーは無いが足掻いてもどうしようもない絶望感を漲らせ、菜々子の登場あたりまでは撮影もムードも暗澹たる悲劇性を醸し出して秀逸だった、ただ、終盤がチャチすぎる。形象化されトリックスターは力を失う。投票
B★4Versus(2000/日)ショット内で催される茶番の持つエナジーと強度が唯一無二のアングル選択と奇跡的とも言える編集の冴えで増幅される。低予算「自主」を逆手に取った恥も外聞も無い何でもアリ世界で見栄と虚飾で塗り固めた力業の凝縮。北村龍平にとって最初で最後の傑作。投票
C★4地獄の警備員(1992/日)元力士というキャラがアイデアのみで肉体の存在としてのそれには実は殆ど言及されず商社内の絵画部なる背景も脳内世界に終始する。ホラーに拘泥する振りをしながら否応なく形而上的世界観に色気を出してしまう歪さ。ただ、そういう藻掻く様が面白いのは事実。投票(2)
C★4スウィートホーム(1989/日)山城とか古舘とかのお茶の間タレントを持って来たキャスティングのセンスがいい。それを伊丹十三が出てきてぶち壊したのもご愛嬌。海外の「お化け屋敷」ものを日本の風土に移植してまがりなりにも成功している。投票(4)
C★4カリスマ(1999/日)「法則の回復」だの「対立軸の共生」だのと前半は青臭く生硬な台詞も相まり木を巡る争奪は意味や先行きの見えぬ隘路を彷徨うが、後半「なるがまま」と開き直り黒沢お得意の終末観が展開され出すと見違えるように締まった。でも、結局そこかよの感もある。投票(2)
C★4蛇の道(1997/日)ひと昔前のインディペンデント感を濃厚に漂わせたいかがわしさがある。哀川の塾講師が1歩間違えれば陥る脳内構成な稚戯から辛うじて逃れ得たのは黒沢お得意の終末感がこの程度の物語容量に最もフィットするからだ。復讐譚が逆しまに反転し得ている。投票
C★3CURE/キュア(1997/日)映画内記憶と精神分析の混合が提示する物語は或る種の居心地悪い剣呑さを纏っていて、作家としての新たな鎧を手に入れた感はあるが、病み人たちに仮託されたそれは、やはり己の内実を曝け出すことに踏み出せぬ表層だと思う。一片でも本心を見せて欲しかった。投票
C★3回路(2001/日)ミニマムな世界で解ったような解らんような終末感を描いてこそ或る意味深遠さを醸し出していたのに、こうも子供じみたビジュアルで具現化された終末世界がヤケにちぐはぐ。大体、武田真治が語る幽霊が出てくるワケの幼稚臭さにはたまげたよ。投票(4)
C★2蜘蛛の瞳(1997/日)念入りに構築された『蛇の道』の姉妹篇として何かを・乃至は何ものをも構築し切れない未達感が横溢する。挙句にお手盛りの「虚無感」を前面に出してみたもののダンカン寺島を迎えてタッチまでも北野イズムめいたのがうそ寒い。弱点が露呈する。投票
D★5シコふんじゃった。(1992/日)冷淡を過ぎ冷血とまで見える醒めた体裁を纏い、一方では低次元な熱血スポ根的ドラマトゥルギーを持ち込み、更に竹中の下ネタギャグの破壊力が混在する。観客は下卑た笑いと熱い共闘意識と苦い反発を往還しつつ見入るわけだ。高度に戦略的な傑作と思う。投票
D★5ファンシイダンス(1989/日)置き去られた世界を斜めに見るのではなく、真摯に取り組もうとする者たちの侮れない世界と規定し、現在世代の受容と寛容をも肯定的に捉えようとする。で、流石にまともすぎるので破壊的ギャグを配置する。キザに周到だが完璧。羊羹1本一気喰いには参った。投票(2)
D★3Shall we ダンス?(1995/日)本木主演の連作では異文化ギャップの単線構造で済んでも、役所草刈の大人世界では男と女の領域に踏み込まずには済む筈もない。何も無いことで却って妻が不憫に見える逆説への無自覚。自己完結した世界に安住しマンネリで底浅で冗長。投票(2)
E★4ペインテッド・デザート(1993/日)好きこそ物の上手なれでアメリカかぶれ原田の特質みたいなのがビデオ映画『タフ』連作で見出し獲得した一応の職人芸と最良の形でマッチングし違和感無くはまった。木村一八がアメリカの役者や風景の中で全く浮いて見えないだけでも凄いことだと思う。投票
E★4突入せよ! 「あさま山荘」事件(2002/日)まだまだ反体制を自称する輩が跋扈するこの業界で体制側(警察)から事件を描いた映画を撮るのは勇気が要ったと思うが何も考えてなかっただけかもしれない。絶頂期の市川崑や最近の森田みたくあざとさを感じても有無を言わせぬ編集のパワーがある。投票(11)
E★2栄光と狂気(1996/日=カナダ)真摯に題材に突き動かされ製作に至るのではなく、外国人を使って英語映画を撮るという過程が全てで、小賢しいまでに手慣れた原田の技法からは隠匿されたコンプレックスが匂い立つ。クソ面白くもなく、どういうマーケットを狙ったのか全く不可解な企画。投票
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