[POV: a Point of View]
DPへ愛をこめて光の達人たちDirector of Photography=撮影監督にもっと光を
映画は結局、光と影という絵の具で書かれた絵なので、それを実際に描く職人=技術者=アーティストである撮影監督(DP)を、もっと追求したい気がしてました。そこで、個人的に好きなDPたちの作品リストを作って、取り合えずそれを全部観てみたいと思ってます。
なお、ビットリオ・ストラーロやネストール・アルメンドロスなどの大御所ではなく(好きですけど)、いま中堅で頑張ってる感じの方々から選んでみました。
A:ダリウス・コンディ、B:ダンテ・スピノッティ、C:タク・フジモト、D:ジョン・トール、E:ロビー・ミューラー、F:ピーター・アンドリュース
A | ロスト・チルドレン(1995/仏=スペイン) | レンタルビデオで観たのですが、あまりのおもしろさに、続けてもう一度観てしまった。配役、物語、濡れた金属の錆の匂いがしそうなマシン類、すべて大好き。撮影監督のダリウス・コンディもすばらしい。コンディ撮影では『セブン』もいいけど、こっちの質感のほうが好みです。 | 投票 | |
A | セブン(1995/米) | なによりも、ダリウス・コンディの撮影が最高。脚本も凄いとおもう。だって、観客に殺人幇助の気持ちにさせちゃうんだもの。 | 投票 | |
A | デリカテッセン(1991/仏) | 悪夢をそのまま映画にした感じ。でも、夢を映画として定着させるには、冷静で地味な忍耐強い作業が必要なのですね。ジュネのは、偏執狂的にその忍耐力がありそう。でも私はジュネ作品では、『ロストチルドレン』『エイリアン4』の次。つまり、これはビリケツの作品。 | 投票 | |
A | エビータ(1996/米) | どアタマの二つの葬式シーンとフラッシュバックで、あ、展開上に何か問題があったんだな、って感じた。で、その通りだった。でも、大好きなダリウス・コンディの撮影が堪能できて、あたしゃ満足。『セブン』みたいなedgedなルックだけじゃなくて、古典的な絵もしっかり自分のものにしたコンディに拍手。 | 投票 | |
A | エイリアン4(1997/米) | ジュネ大好き。でも、エイリアン は根拠なしの悪のままで居てほしかったのは、私だけ?ウィノナの瞳につねに、リングライトが入っていることに注意。でも、母性愛とは・・・・。でも、シリーズでは、1作目の次に好き。 | 投票 | |
A | ナインスゲート(1999/米=仏=スペイン) | 最初のイスのフルショット(ただのイスがこんなに怖いなんて)から、最後の15分までは、完璧にすばらしいポランスキーひさびさの恐怖フェチ映像全開なのに、最後はなに?それは見ての通り、資金がそこをついたんだそうな。あー、惜しい!!! | 投票(2) | |
A | ザ・ビーチ(2000/米) | 東南アジアの喧噪とそれとコントラストをなす極楽のようなビーチ。さすがダリウス・コンディの撮影なんだけど・・・。この対比のなかで、西欧人たちの個と、集団、ヒロイズムとエゴなどが考察されてゆくんだけど・・・。観念の結晶を組み合わせてはいるけど、全体の物語が動き出さない。って感じ。作品として悲惨。 | 投票(1) | |
A | パニック・ルーム(2002/米) | 撮影監督のダリウス・コンジは、途中で降りたんだそうな・・・。何があったんだろう。フィルムの質感も光も、カメラの動きもさりげないSFXも素晴らしいんけど、怖くない。間延びした感じ。もしかしたら、その原因は、どこにも見えない部分がないからかも。登場人物の心のなかも分かりやすいしね。 | 投票(1) | |
A | エリザとエリック(1987/仏) | |||
A | 魅せられて(1996/英=米=仏=伊) | |||
A | イン・ドリームス(1998/米) | |||
B | ヒート(1995/米) | すごい引いたワイドショットと、近視眼的なクローズアップを巧みに組み合わせた描き方が、秀逸。必死で生きているときは人間は全体見えないもんね、だから人間は切ないよね、バカやるんだよね、と頷きながら、あっというまの3時間でした。 | 投票(2) | |
B | 刑事グラハム 凍りついた欲望(1986/米) | 監督マイケル・マンだし、撮影ダンテ・スピノッティだし、全編に主観撮影の緊張感はりりしく漲っていて素晴らしい。でもね、トマス・ハリスが次作『羊たち〜』で少女が大人になるイニシエーションを主題にいれて、またジョナサン・デミがそれを見事にフィルムにしてしまったので、男のロマンはちょっと軽く見えちゃうよねー。いい作品なのに、不運だったかも。 | 投票 | |
B | L.A.コンフィデンシャル(1997/米) | まるでコメディのような導入が象徴的。表層的には華やかでウイットに富んだハリウッドの雰囲気と、その内側の欲望ゲームの構造が、それぞれの登場人物にもそのまま相似形になっていて、とても豊かな奥行きをもつ作品になっていると感じました。 | 投票 | |
B | インサイダー(1999/米) | たばこ会社がその害を自認していたか、いなかったか、という巨大企業の倫理が問われる資料なんて、マジに殺されても不思議はなかったろう。実話というのが怖い。すごくよくできているのに、冒頭でラッセルがビルを出るマジなシーンで可変速撮影になってMTVしちゃうのは、なぜ? | 投票 | |
B | バンディッツ(2001/米) | 「完全な人間はいない」ってのはビリー・ワイルダー師匠(とダイアモンド)作の台詞だけど、その視点から見ると善人も悪人もないぜ、っていうコメディを狙ったのでしょうね。いや、面白かったですけど・・。なぜか頭の中でファレリー兄弟と較べてしまって・・。なんかスマートすぎる?。D・スピノッティの撮影はチョー素晴らしいけど・・。 | 投票 | |
B | ロンリー・ハート(1986/米) | |||
B | アリア(1987/英) | |||
B | 聖なる酔っぱらいの伝説(1988/仏=伊) | |||
B | フォーエバー・フレンズ(1988/米) |
同じDPを起用し続ける監督、作品ごとに違うDPなのにルックが統一している監督、違う監督とやっても一定の個性を感じさせるDP。など観てゆくといろんなことが判ってきます。光、影、色、視写界深度、構図、セッティング、アングル、動き、フィルム粒子の選択などなど。そこに、DPたちの筆の技を見いだして、感動したり、驚いたり、泣いたり、笑い転げたりしつづけたいと思います。
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