[POV: a Point of View]
明治、大正の文学読んでから観るか、観てから読むか、それが問題だ。
まだ読書が庶民の娯楽の一端を担っていた時代に生まれた、日本の文学作品を原作とした映画を集めてみました。厳密には昭和に書かれた作品もあると思いますが大目に見てください。泉鏡花と谷崎潤一郎の作品は多すぎるし重要すぎるので除外。は津美さん、とむうぇいつさんのPOVを参照してください。乱歩や久作などの「新青年」系も割愛しました。漱石作品が思ったより少ないのが意外。・・・ちなみにぼくは読んだら観ない、観たら読まない派です(ダメじゃん!)。
A | ツィゴイネルワイゼン(1980/日) | 内田百聞(正しい綴りは「門」に「月」)。「サラサーテの盤」を鈴木清順監督が脚色。 | |
A | それから(1985/日) | 夏目漱石。『家族ゲーム』に続く森田芳光と松田優作コンビ作。 | |
A | まあだだよ(1993/日) | 内田百聞(正しい綴りは「門」に「月」)。黒澤明監督。 | |
A | 人間(1962/日) | 野上弥生子。新藤兼人監督。 | |
A | 利休(1988/日) | 野上弥生子。勅使河原宏監督。 | |
A | 夏目漱石の三四郎(1955/日) | 夏目漱石。『それから』「門」と続く前期三部作の一作目。中村信夫監督 | |
A | 虞美人草(1935/日) | 夏目漱石。溝口健二監督。 | |
A | こころ(1955/日) | 夏目漱石の代表作。市川崑監督。 | |
A | 吾輩は猫である(1975/日) | 夏目漱石の名前を一躍有名にした娯楽小説。市川崑監督。 | |
B | 山椒大夫(1954/日) | 森鴎外。溝口健二監督で、映画の方もゴダールに引用されるほどの傑作。 | |
B | 舞姫(1989/日=独) | 森鴎外原作の小説では最もポピュラーな作品。篠田正浩監督。 | |
B | 雁(1953/日) | 森鴎外。文芸ものに強い豊田四郎監督。 | |
C | 晩春(1949/日) | 広津和郎。原題「父と娘」。小津安二郎監督。 | |
C | たけくらべ(1955/日) | 樋口一葉。五所平之助監督。主演は美空ひばり。 | |
C | にごりえ(1953/日) | 樋口一葉原作。今井正監督。 | |
D | 智恵子抄(1967/日) | 高村光太郎が亡き妻への思慕をうたいあげた詩を佐藤春夫が小説化。中村登監督。 | |
D | 野ゆき山ゆき海べゆき(1986/日) | 佐藤春夫。原題は「わんぱく時代」。大林宣彦監督。 | |
D | 墨東綺譚(1992/日) | 永井荷風。新藤兼人監督。 | |
D | 四畳半襖の裏張り(1973/日) | 永井荷風。神代辰巳監督。原題は「四畳半襖の下張り」。 | |
E | あらくれ(1957/日) | 徳田秋声。自然主義の佳作。成瀬巳喜男監督、高峰秀子主演。 |
A:夏目漱石とその門人…本名、夏目金之助。高校教師在任
中にロンドンに留学。ユーモラスな『吾輩は猫である』で注目を浴びた
が、晩年は持病の精神衰弱が悪化、人間のエゴイズムを見つめた深刻な
内容のものが増えてくる。漱石の門下生には野上弥生子や寺田寅
彦、小宮豊隆、鈴木三重吉、内田百聞と芥川龍之介もいた。B:森鴎外…本名、森林太郎。陸軍軍医となりドイツに留学後、『舞姫』を発表。初期の浪漫主義的な作風から、晩年は歴史小説や史伝に移行していった。C:硯友社…尾崎紅葉らが結成した文芸結社。機関誌「我楽多文庫」を発行。泉鏡花や徳田秋声は紅葉の門人。樋口一葉もその影響を受けた。広津和郎は硯友社メンバーである広津柳浪の子。D:自然主義…人間の本質をありのままに描こうという主義。田山花袋、島崎藤村、徳田秋声、正宗白鳥らが確立。E:耽美派…自然主義に反対し、退廃的、享楽的な美を至上とする主義。永井荷風、谷崎潤一郎、佐藤春夫ら。F:白樺派…トルストイの人道主義の影響を受けた学習院出身者が創刊した雑誌「白樺」に集まった人たち。志賀直哉、武者小路実篤、有島武郎など。G:新思潮派…漱石・鴎外の影響から始まった雑誌「新思潮」に集まった人達。芥川龍之介、菊池寛、山本有三ら。H:アララギ派…伊藤左千夫が創刊した詩の雑誌「アララギ」の人々。他に長塚節、斎藤茂吉ら。番外として明治の文豪が登場する『帝都物語』を挙げておきます。
この映画が好きな人達このPOVを気に入った人達 (7 人) | tredair AONI ゆーこ and One thing Kavalier 緑雨 町田 ジャイアント白田 |