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[POV: a Point of View]
バイブル2
南部僑一郎・佐藤忠男共著「日本映画一〇〇選」秋田書店・昭和48年刊

小6で買ったこの本は今でもチョクチョク読み返す。100本の映画を死ぬまでに全部映画館で見たいものだ。A〜Gは各1910年代〜1970年代を分別。極私的POV。
F★5にっぽん昆虫記(1963/日)膨大な情報量を内包しつつ小細工無しのリアリズムなアプローチで背景が醸し出される巨視感。こういう丁寧な労力でしか本物は産み出されない。あざといとも言える近代史の点描の中を始原的なストップモーションと短歌の反復を携え左幸子は駆け抜ける。投票(1)
F★5博奕打ち 総長賭博(1968/日)三島由紀夫がギリシャ悲劇になぞらえて評したという…言い得て妙だ。のっぴきならないところに追い込まれて行くロジカルすぎる構成とため息の出るほどの折り目正しき格調。投票(7)
F★5絞死刑(1968/日)制度や差別への言及を仮初とは言わぬが、大島が徹底して拘るのは「反権力」の一点。それは観客への強烈なアジテートとなり俺達を揺さぶる。技巧の冴えも突出し閉塞空間からロケへの空間転移は鮮やかの極み。ロジカルなシナリオってこういうのを言うのだ。投票(2)
F★4日本の夜と霧(1960/日)反体制闘争を描くに製作も制約を逆手に取った体制打破気分を横溢させるいう前代未聞の戦略。大島の空気を読む山師才能が全開。2世代の闘争の総括が呈示されたとも思えぬが吉沢京夫の空疎なアジテーションは或る意味50年後を予見していたかもだ。投票(2)
F★4妻は告白する(1961/日)通常の増村映画の若尾扮する論理に立脚したクールなキャラとは正逆な女主人公なのだが、それはそれで徹底的に押しまくる増村演出は良しとしても、冒頭の肝心な山岳描写がこうも陳腐では興醒めだ。果てまで行きつく加虐的昼メロのメルクマール。投票
F★4切腹(1962/日)橋本節丸出しの倒置多用のシナリオは良く出来たといえばそうだが、演出はそれに従属している。拮抗し打破する演出がこそ見たいのであって仲代の定型演技が又器の中のプリンのようでさえある。ただし立派な面構えな映画であることは認めざるを得ない。投票(1)
F★4座頭市物語(1962/日)後のアクロバティックな市の居合いは、まだ無い。地味な印象だが、それが全編に漂う虚無感を全うさせる。又、それを一方で負って立つのが天知茂であることに異論は無いだろう。投票(5)
F★4砂の女(1964/日)具現化されたイメージが原作読みの想像世界を超えたか微妙。外世界の村人たちが形象を付与され土俗的猥雑さが増す一方でシュールなエッジは後退した。岸田今日子のネバつくようなエロスも同義だがこれは原作を凌駕している。あと、砂の圧倒的な美も。投票(2)
F★4緋牡丹博徒 花札勝負(1969/日)良い意味で情を垂れ流すのが仁侠映画の王道とし、それを如何に厳格なる様式の中に描くかという世界観の中では、これは同じ加藤泰の『明治侠客伝 三代目襲名』と並んで双璧であろう。好きか嫌いかはともかく、この立派さの前には納得するしかない。投票(5)
F★3おとうと(1960/日)暗黒波動が渦巻く家庭でも健気な姉弟はかく生きたという視点は無い。両者は乖離し相克を見ずドラマトゥルギー無きなかの歪な変質趣味と宮川の強固な偏執審美のみが際だつ。甘ったれた「おとうと」にも最後まで共感できない。ジェラシーかもだが。投票(3)
F★3男はつらいよ(1969/日)破壊的で荒ぶれる寅だからこそ失恋の痛みが本当に痛切。終盤の駅の安食堂での別れに滲み出る兄妹愛がそくそくと心に染み透る。同時代で見ていたら、もっと高い点にしたと思う。投票(2)
F★3豚と軍艦(1961/日)作者自ら「重喜劇」と称したらしいが、その名の通り重くて今一笑いが弾けない。見る前に期待しすぎた。投票(3)
F★3不良少年(1961/日)ドキュメンタリズムを導入することで完結してしまっているので、何かが浮かび上がってくるというわけでもない。公開時には新鮮だったかも知れないが、今となっては黒澤の『用心棒』を押さえての61年ベストワンは時代の徒花でしかないだろう。投票
F★3赤い殺意(1964/日)暗い東北の風土の中で描かれる、図太くしたたかなる女のバイタリティ。『にっぽん昆虫記』と同一テーマだが加味される巧まざるユーモアが春川ますみ主演で予定調和的になったのが惜しい。投票(1)
F★3日本列島(1965/日)壮大な国際的謀略を孕む前半から後半になるにつれ馬脚が現れどこかスケールダウン。対象が見えぬ怨嗟は虚空に消える。何かと言えば米軍機を象徴的に飛ばせるのも1,2回ならともかくやりすぎで芸もない。日本側情報機関のフィクサー大滝が不気味に好演。投票(1)
F★3けんかえれじい(1966/日)行書体作家が楷書体に擦り寄り行儀は良いが平凡。なのに、それを良しとしない諧謔味が寧ろ邪魔にさえ感じ、漫画チックなカット割りが浮いている。極右化しゆく青春の行く末をこそ清順流で示唆すべきが、そこは新藤の範疇に支配されたままだ。投票
F★3暗殺(1964/日)一派に汲みしない篠田のノンポリスタンスが共鳴したのであろうが、圧倒的に個性的な主人公を擁しながら断定的なハッタリがないので盛り上がらないこと甚だしい。時代劇なのにオール現代劇役者で主軸を固めた拘りも悪くはないが面白みもない。投票(2)
F★2青春残酷物語(1960/日)体制的な全てを破壊し殉教するような覚悟はもとより論理性も見受けられず、美人局の挙げ句の痴話喧嘩では萎える。太陽族映画の理想的帰結が虚無的な『ろくでなし』であったとすればこれは虚しく自壊した変革願望。川又昂のカメラが又良くない。投票
F★2初恋・地獄篇(1968/日)四畳半的寺山の怨念がアナーキーに解放されずに日常に埋没し糞詰まりのようで、更に羽仁の演出がゴダールの洗礼を受けた60年代シネアストの悪しき典型とでもいう舌足らずさで追い打ちをかける。投票(1)
F★2神々の深き欲望(1968/日)徹底した取材を通して叙情を浮かび上がらせることに長けた今村が壮大な叙事詩を紡ごうとして破綻した。そういう意味で『ええじゃないか』と双璧かも知れない。一種の日本人論なのだろうが主題もつまらないし、姫田無き映像の構築力も薄っぺらい。投票(3)
B:『足に触った女』『彼をめぐる五人の女』『忠次旅日記』『お嬢さん』 C:『明治元年』『旅は青空』『また逢う日まで』『祇園祭』『大菩薩峠』『人生劇場』『兄いもうと』『股旅千一夜』『蒼氓』『阿部一族
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