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[POV: a Point of View]
村上春樹と映画

村上春樹は早稲田の「映画演劇科」出身で、当時大学の文学部で映画の専攻課程を持っているのは早稲田と明治と日大ぐらいで「まあ映画関連ならなんでもいいや」という感じで早稲田に入ったらしい。 「ちょうど学園紛争の頃で授業などほとんどなかったからアパートとアルバイト先と映画館というトライアングルをぐるぐる回るほど」浴びるように(1年に200本以上は)映画を見ていたそうで、シナリオ執筆などもしていたという。ちなみに卒論テーマはずばり「アメリカ映画における旅の系譜」だとか。★ 氏の作品はアメリカ作家からの影響が大きいそうだが、こうしてまとめてみると、洋画から得た部分も大きかったのではないかと推測でき、実際「映画をめぐる冒険」によると「羊をめぐる冒険」の別荘での鏡のシーンは『我輩はカモである』をヒントにしたとあり、逆に「スメルジャコフ対織田信長家臣団」によると『カラー・オブ・ハート』の架空の街が「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」に似ていると述べている。 また、四方田犬彦は「世界は村上春樹をどう読むか」で「羊をめぐる冒険」のホテルや「レキシントンの幽霊」の幽霊屋敷のパーティーと『シャイニング』、「海辺のカフカ」冒頭と『ピクニック at ハンギングロック』との類似性について指摘している。 ★監督はメル・ブルックスジョン・カーペンター、男優はマルクス兄弟が大好き(村上朝日堂)で、女優はシシー・スペイセクロザンナ・アークエットのファン(村上朝日堂の逆襲)らしい。近年は特にアキ・カウリスマキの"いささかまともじゃないところ"が好きらしい(夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです) ★コメントはその映画について触れた著作名(略称)、その映画について触れた箇所の抜粋または要約となってます。ただ、一部(とくに「映画をめぐる冒険」)かなり強引に要約したものもあるので村上氏の本意とは違う感じになっているかもしれない。複数の著作で触れられている作品は僕が気に入ったコメントの方を載せてます。とりあえずコラム中心で、そのうち小説からも随時追加予定。(最終更新:2014.10.1) ★A・・・あ行、B・・・か行、C・・・さ行、D・・・た行、E・・・な行、F・・・は行、G・・・ま行、H・・・や行以下
F★0パラダイス・アーミー(1982/米)「冒険」:「『黄色い老犬』を観て泣かなかった奴がいるか?」と訊くシーンで同意した。
F★0パリの恋人(1957/米)「冒険」:楽しかった
F★0パットン大戦車軍団(1970/米)「冒険」:星条旗を背景にのっけから「サノバビッチ」だから相当に凄い映画だ。ただの戦争超大作ではない
F★0氷壁の女(1982/米)「冒険」:まるで優れた小説を読み終えたあとのような心地良いうねりが心に残る。
F★0舞台恐怖症(1950/英=米)「冒険」:ディートリヒの悪女ぶりに唸る。ヒッチらしい細部の仕掛けが随所に効果的に散りばめられてる
F★0プロフェッショナル(1966/米)「冒険」:ビッグネームを総花的に集めすぎたきらいは多少あるが、「大作」的な焦点ボケはない。
F★0ベスト・フレンズ(1981/米)「冒険」:二人も女流作家が出てくる映画はあまりないからあえて選んだ
F★0パーフェクト・カップル(1998/米)「ス」:留保なく面白くて最初から最後まで笑い転げた。トラヴォルタのアーカンソー訛りが圧倒的
F★0ヘンリー&ジューン 私が愛した男と女(1990/米)「ス」:カルチェ・ブレッソンがちらっと出てきて興味深い
F★0プリティ・ベビー(1978/米)「冒険」:たるみのないしまった映画。湖畔の朝食のシーンはルノワールの絵画のように美しくイノセント
F★0ピンク・フラミンゴ(1972/米)ス、うず:まあよくこんなどうしようもないアホな映画を手間隙かけて作るよね
F★0パサジェルカ(1963/ポーランド)「冒険」:中学時代に観たいわゆる芸術映画だが意外に頭に残りにくい
F★0ヘアスプレー(1987/米)「うず」:「クライ・ベイビー」「ヘアスプレー」といった作品もすごく楽しかったけれど
F★0フィメール・トラブル(1973/米)「うず」:まあよくこんなどうしようもないアホな映画を手間隙かけて作るよね
F★0冬のライオン(1968/英)「冒険」:『わが命つきるとも』とか『ベケット』とかこの手の歴史ものって僕はわりに好きである。
F★0墓石と決闘(1967/米)「冒険」:『荒野の七人』以降のスタージェス作品ではこれがよかった
F★0ブラック・サンデー(1977/米)「冒険」:余計な部分が効果的に省かれているぶん、原作より緊迫感がある。
F★0ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ(1999/独=米=仏=キューバ)「ラヂオ」:身体全体でこの映画を正当に理解し、評価したんだという実感がある。
F★0バージニア・ウルフなんかこわくない(1966/米)「冒険」:やたら汚い「四文字」が出てくるので当時問題になったが今となってはどうということはない。
F★0ハッド(1963/米)「冒険」:いささか古臭い感あるも、やはり格調高い一時期の米映画のひとつのスタイルを代表する一作
著作物の略称: 「朝日堂」・・・「村上朝日堂」、 「逆襲」・・・「村上朝日堂の逆襲」、 「は」・・・「村上朝日堂はいほー!」、 「うず」・・・「うずまき猫のみつけかた」、 「鍛」・・・「村上朝日堂はいかにして鍛えられたか」、 「冒険」・・・「映画をめぐる冒険」、 「ラヂオ」・・・「村上ラヂオ」、 「風」・・・「風の歌を聴け」、 「雨」・・・「雨天炎天」、 「哀」・・・「やがて哀しき外国語」、 「日」・・・「日出る国の工場」、 「ス」・・・「スメルジャコフ対織田信長家臣団」、 「夢」・・・「夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです」、 「お」・・・「おおきなかぶ、むずかしいアボカド」、 「雑」・・・「雑文集」、 「サ」・・・「サラダ好きのライオン」、 「ソ」・・・「村上ソングス」、 「ひ」・・・「ひとつ、村上さんでやってみるか」、 「色」・・・「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」、 「懐」・・・「懐かしき1980年代」 ★参考文献:「世界は村上春樹をどう読むか」、「村上春樹の映画記号学」 ★未登録映画: 『栄光の野郎ども』:18の年に受験勉強が嫌になりふらっと行った熊本の映画館で観た映画。 『大いなる希望』:記憶にあるいちばん最初の映画のひとつ。 『前線命令』:ヴァン・ジョンソンが出てくる戦争映画で、記憶にあるいちばん最初の映画のひとつ。 『苦い勝利』:ニコラス・レイ出演の戦争映画で好きだった。 『拳銃の罠』:ノーマン・パナマ作品でサスペンスものでいちばんくっきりと覚えている。 『黄色い老犬』:子供の頃に見たディズニー映画で僕がよく覚えているもの。 『銃口』:ブレイク・エドワーズの作品で中学時代に観て気に入った作品。 『裸のジャングル』:コーネル・ワイルドの作品で、あまり感銘を受けたとは言いがたいハリウッドB級ものだが、もう隅から隅まで思い出すことができる。 『トミー&ジミー・ドーシー物語』:ヘレン・オコンネル目的に何度も見直している。「グリーン・アイズ」はゾクゾクするばかりに素晴らしい。テイタムのセッションはレコードであまり聴けないので貴重。 『勝利なき戦い』:ルイス・マイルストン作品で反戦的色彩が濃い 『夕陽の挽歌』:ブレーク・エドワーズ作品で真面目に作ったがどうもぱっとしなかった。 『ベケット』:この手の歴史ものって僕はわりに好きである。 『くちづけ』:アラン・J・パクラ作品で僕が個人的に大好きな映画である。男女の心の底にあるしんとした静けさのようなものを実にうまい抑制したタッチで描き出していた。 『ラゲッディーマン』:生活描写もくっきりと焦点があって素晴らしい。 『三人の仲間』(Three Comrades):フィッツジェラルドがシナリオを書いた 『忘れえぬ慕情』(A Girl Named Tamiko:1963):ローレンス・ハーヴェイが戦後間もない東京を舞台に孤独な日系アメリカ人写真家を演じる、なかなかの珍品映画。 『ハッカリの季節』:理想主義が土地の現実の前に敗退していくという割に十九世紀ロシア的な暗いテーマの(トルコ)映画だったと記憶している。筋はともかく風景や風俗の描写は素晴らしくヴィヴィッドであった。 「は」『下町天国』、『無軌道行進曲』:昔の人は本当にマメに邦題をつけた。 『ハイスクール』(Almost Summer):プロムのシーンで主人公が双子の女の子をつれてさっそうと現れるシーンがかっこよかった。 「ス」『イン・ゴッド・ハンズ』:いかにも素人っぽい作品で観ている間は退屈したが見終わってしばらくすると「なんかいいな」とほわっと残る。サーフィンシーンは文句なく素晴らしい。 「サ」『旅まわりの死刑執行人』(『The Travelling Executioner』):見る手だてがないとなると好奇心はいやが上にも膨らんでいく。「ソ」『勝利なき戦い』:「ニューヨークの秋」を流すシーンが映画全体を通してもっとも印象的
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