今度はアメリカの良心を演じた俳優の１人ヘンリー･フォンダを特集。　　プロフィール付　　１９０５年５月１６日米・ネブラスカ州グランド･アイランド生まれ。ミネソタ大学中退後劇団に加わり舞台を経て３５年の「運命のそよ風」で映画デビュー。３７年の「暗黒街の弾痕」で初主演を飾り３９年に巨匠ジョン･フォード監督に見出され同年の「若き日のリンカン」「モホークの太鼓」と２本の作品に主演し一気に注目され翌年の「怒りの葡萄」で演じたトム役でスターとなりその後アメリカの良心を演じる俳優の代表となりジョン･フォード監督作品に多く出演した。４１年の「レディ･イヴ」ではロマンチック・コメディーに挑戦する他６８年の「ウエスタン」では初の悪役に挑んだ。４８年には浮気が原因で妻が自殺した事により低迷し７年間は舞台活動中心だったが本人が主演していた舞台の「ミスタア･ロバーツ」の５５年の映画化作品で映画界に復帰以後活躍した。「怒りの葡萄」でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされそれから４１年後の遺作となった「黄昏」のノーマン役で念願の受賞をした。又同作品でゴールデングローブ賞男優賞(ドラマ部門)とセシル･Ｂ・デミル賞を受賞する他８０年にはアカデミー賞の名誉賞も受賞した。オスカーを受賞した後の五ヶ月後の８２年８月１２日に心臓発作のためにこの世を去った。子供のジェーン･フォンダとピーター･フォンダも俳優として活躍しておりピーターの娘で孫のブリジット･フォンダも女優として活躍。私生活では娘のジェーンとの仲が悪かった事で有名だったが彼の遺作の「黄昏」で共演後は復縁している。ヘンリー・フォンダは良心あふれる優しい青年から女たらしの男まで幅広く演じた名優。出世作の『若き日のリンカン』のリンカン役や『怒りの葡萄』のトム役では家族思いな感じが出ていてホームドラマでは必ず期待に答えてくれた俳優。その後も『レディ・イヴ』では少し生真面目な感じのキャラにコミカルな面が入ってかなり違った面が見られるし『荒野の決闘』のワイアット・アープ役はかなり押しの強いキャラを演じていてインパクトがあった。低迷後はその良心的なキャラのイメージを逆手にとって女たらし役やお遊び好きな男役、悪役なんかも演じて芸域が広がって様々な役がみられる。特に遺作の『黄昏』のひねくれ者の老人ノーマン役はそれまで演じていた役とは印象もかなり違っていて俳優暦の長さからすると役者としての完成された姿がそこにあった感じがしてすごく素晴らしかった。