[コメント] きれいなおかあさん(1999/中国)
映画を見終った人むけのレビューです。
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聴覚を失った子供とその母親の姿を描いた映画。
上映時間は90分と短めだが聴覚障害者の子供と母親との親子の絆をしっかり描いており、ストーリー構成もなかなか濃い内容で、良い意味で90分という短さを感じさせなかった。
この映画では聴覚を失った障害者の子供が誰の手も借りずに生活していきたいという自立心やそんな子供の気持ちに気づかずに途中で育児放棄する母親の微妙な心理状態など障害者を持った家族ならではの家族模様が描かれていて非常に興味深かった。
映画としては障害者を取り上げたドキュメンタリー番組を見てるような感じもするが演出はキャラの心理状況をちゃんと押さえているのでなかなか良かった。 不満な点を上げるとすれば母親のスー・リーインと息子のジョン・ダーとの親子としてのエピソードはしっかり描けているのだがスー達にすごく親切にしてくれるファン先生やスーの友人とのエピソードがほぼおざなりになってしまっているところ。特にラストでファン先生に対してのフォローがなかったのは気になった。 だが90分という上映時間でここまでストーリーを描けば立派な物。
役者としてはジョン・ダー役の子役ガオ・シンは実際の聴覚障害者で役者としてはまったくの素人だが演技はなかなかうまい。
『活きる』でもコメディ・キャラという今までにない役柄を演じていたスー・リーイン役コン・リーは今回も現代の中国で生活する母親役で障害者の子供を持った母親の微妙な心理状態を明るい部分も暗い部分も巧みに演じていて、やはりうまい。ここ最近の彼女は演技に対する幅を広げようという姿勢が映画からも見受けられ感心してしまう。演技派としては見るのが楽しみな女優になってきた。
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