コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] レジェンド 光と闇の伝説(1985/英)

演出の良さで見せるべき所を演出によって駄作にしてしまった失敗作。惜しい作品です。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 アメリカでそろそろファンタジーRPGが出始めた頃。日本でも少しずつファンタジー小説が入り込んできた時代の作品。今から観ると、なんの捻りもない本当にストレートな作品に逆に驚くし、それが新鮮だったりもするが、とにかく物語に関してはほとんど何も言うべき事がない。それに画面が飛びまくるため、雰囲気に浸ることも出来ず。

 キャラに関しても、クルーズにはワイルドで繊細という立場が求められていたと思うのだが、どちらも中途半端な印象が拭えず。カリーの魔王ははまっているものの、悪の存在としてはちょっと印象不足。これに関してもあんまり言うべき所がない。

 ただし、流石はスコット。演出に関してのみで言えば無茶苦茶綺麗。特に沼地でのソフトフォーカスのかけ方や、砂漠の乾いた感じ。魔界のおどろおどろしい感じ。セットは幾分安っぽいものの、それを奥行きを感じさせるように努力したカメラ・ワークの苦労がしのばれる。幻想的雰囲気の演出にかけてはトップレベルとも言える。そもそもスコット監督はデビュー当時から『トリスタンとイゾルテ』を作りたがっていたそうだが、これだけのことが出来るならば、充分それも可能だと思わせられた。それだけでも観る価値はあるってもんだ。

 ただし、本作は大コケ。いくら演出が良くても、他が悪いのではどうしようも無かろうと思われるのだが、実はもう一つ理由があったらしい。他でもなく、音楽が見事にそぐわなかったらしいのだ…「らしい」と限定的なのは、実は本作でスコット監督と会社側がぶつかり、アメリカ国内版とヨーロッパ版(インターナショナル阪)の二つが作られることになった。それでアメリカ版で音楽を担当したタンデリンドリームは全般的な音楽をおどろおどろしい雰囲気で仕上げた。だが、それが見事に世界観と合わなかったらしいのだ。

 諸々を含め、残念な作品とだけは言える。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。