[コメント] 名探偵コナン ベイカー街の亡霊(2002/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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切り裂きジャックに関しては、あまり調べた事もないし、関連作品は『フロム・ヘル』程度しか見た事無いので、知識は乏しいのだが、そんな自分でもこの作品は美化しすぎており、腹が立った。確かに、子供向け映画だから、「娼婦」だとか「猟奇殺人」等入れても、意味は無いだろうし、その様な事を取り込んでも仕方ないだろう。
しかし、この作品。考えてみれば、世紀末のロンドンを舞台にして、切り裂きジャックの事件を扱っている、という地点で、『パーフェクト・ブルー』に続く「アニメ映画の猟奇殺人モノ」と言う意味では快挙なのかもしれない。
この作品を「切り裂きジャック映画」として考えると、視点が違うのだろう。しかし、シャーロックホームズと『名探偵コナン』を関連付けている辺り、かなり製作者の趣味的な作品と解釈して、まず間違いないだろう。そこに、多くの人を魅了して止まない切り裂きジャックを取り込む。世紀末のロンドンと来れば、そりゃその手の作品が好きな人にとっては興味を引かれない訳がない。
だが、切り裂きジャックはスーパーマンではない。超人のような跳躍力がある人間ではない。彼は人間だ。さらに、被害者は全て娼婦であり、ロンドンは「貧困の差が激しい」と言う言葉だけで表現できる程の生易しい状況ではなく、「混沌」と言う言葉が相応しい時代だったそうだ。さらに、手口は見事で、医者か、その技術の心得がある人間が犯人の確率が高く、反抗は単純にナイフ一本で行える様な生易しいものではなかった。
つまり、完全にジャック関連において素人の俺の視点で見ても、明らかにこの作品は、ジャック事件ファン(?)からの反感以外を受ける事の出来ない作品なのだ。まぁ、判断の上手いジャックファンの方なら、こんな映画を見ないだろう。だって元を辿れば『名探偵コナン』なのだから。『名探偵コナン』として見た場合、この作品は、例の如く「面白くない」の一言で十分すぎる作品だった。
突っ込みどころ満載で、どこか『トータルリコール』なマシーン達に、察しの悪い女主人公(いい加減気付けよ、コナンの正体に)。面白くない展開、そして定番のクライマックス。ワイン零れますよ、普通。っていうか、駅に着く前に加速し続けている列車がカーブを曲がれる訳ありません。脱線します。もっと言うと、列車の上であれだけの格闘ができると言う事は、相当速度が遅いのでしょうね。
苦笑しか出ない「日本のリセット」という動機と、あざとくてアホなメッセージ。カタルシスの無いクライマックスに、ロンドンのカオスを描きもせず、切り裂きジャックの魅力も活かし切れない脚本(っていうか、このシリーズに期待した俺もバカか)、何よりもくだらない推理。
っていうか、切り裂きジャックを追い詰める為に、ほとんど推理してないじゃないか!ただ走って追いかけただけだろ、ほとんど。
面白い要素が全く無い。こんな映画で興行収入を得ようとしている配給会社の度胸だけに拍手を送りたい。
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