[コメント] デジモンアドベンチャー02 ディアボロモンの逆襲(2001/日)
最後戦いの帰結が、理由の無い奇跡にするあたりに、脚本のレベルの低下を見るのであった。鑑賞している子供達に感情移入させる奇跡を起こしながらも、戦いの結末はあくまでも論理的に、つまりは「頓知」で終わらせた所が、前作の一種の洗練された要素の一部だったと思うにつれ、本作のこれでは旧来のジャンプ漫画やスポコン漫画の理由の無い根性勝利とどう違うのか。
後は、前作でのグラフィカルな魅力に満ちたネット内の世界描写が、色彩的に味気ない物になっている部分もマイナス。
ネットだの携帯電話を使用することで、大人の知らない「子供の世界」が存在し、そこには大人の知らない「危機」があり、その危機を子供は、決して切迫しない中で大らかに楽しむ(故に前作共に敵とのドラマは存在しない)スタンスが貫かれているのは、まがりなりにも、ファンタジーを現在の視点で作り直そうとする、作り手の強固な意志だろう。これは前作にも言えることだが、変に懐古的な方向へ走らないのが素晴らしい。前作に続いて、我々が子供の頃に見た、ドラえもんの大長編映画の興奮を今の子供達に与えている作品だと思う。
kionaさん。 子供達が、戦闘において傍観者なのは、この作品の基であるTVアニメの開始段階からの基本のフォーマットなので、これはまあどうしようもないと思います。作品の作りというか制約として子供達が生身で戦いには参加できないようになっているので、その辺りは『ポケモン』も同種のジレンマを抱えているとは思いますがどうでしょう。で、その制約の中で、本作、前作共に、子供側からのアクションが随分がんばって作られているとのではないかとは思っているんですが…。
例えば、前作において、子供達が、一歩も部屋を出ないのは、「戦いへの無力」への一種の批判的な象徴だろうし(故に、ラストのあれが意味を持っているのではないかな)、本作の逆に都内を走り回るのにもそういった映画の作り手の作品の基本のフォーマットへの批判的なスタンスがあると思っています。
まあ、それはそれで、本作にはずいぶん『エヴァンゲリオン』を思わせるビジュアルが随所に見られる、監督の趣味なのだろうか。この辺りにも前作にない野暮ったさを感じる、と言うと穿ちすぎかな。
最後に。デジモンの映画で、映画ファンが見るに堪えられる作品は、本作まで。この後は、本当にくだらないプログラムピクチャー路線へと回帰してしまうのが残念。
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