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[コメント] あしたのジョー(1970/日)

せめて髪型似せていれば。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 言うまでもない国民的大人気マンガを原作とした作品。有名なのはもちろんアニメ版で、これによってマンガを呼んだ人も多かろう(少なくとも私はそうだった)。しかし、実は実写版も作られている。しかもあの当時の最先端を走っていた長谷部安春監督である。

 だが、この人が作るんだったら、どんなにとんでもないものになるのだろう?いう期待はあっけなく裏切られ、出来たものはものすごく無難なもので終わってしっまた。物語自体がほとんどマンガ版のストーリーを追うことに終始し、観てる側としてもほぼ原作の確認作業で終わってしまう。

 これは無理なからぬところがあるのは分かる。どう見積もっても3時間はかかる物語を90分弱で強引に押し込めてしまったもんだから、話をまとめるにはそれ以外の選択肢が無かったとも言えるし、それ以上を期待するのは無理だっただろう。むしろよくこの時間でまとめてくれた。と言った方が良い。

 だけど、私がこの監督に求めていたのはそんなことではなかった。たとえストーリーがどれほど破綻していても、あるいは徹底的に改変されていても、「この監督だったら許せる」と思わせる説得力を感じさせてほしかった。せめて前後編にして、刑務所を出るまでを前編、ボクサーとなって力石との戦いに至るまでを後編としてくれたら、さぞかし見応えのある作品に仕上がっただろうと思うと、とても残念だ。そうすれば伸び伸びととんでもない物語を作ってくれただろうに。もったいない。

 それでも強いて監督が個性を出そうとしているシーンを挙げてみると、やっぱりラストシーンと言う事になるだろうか。力石を殺してしまったジョーがチンピラにボコボコにされ、突然フィルムがぶつ切りになったように終わってしまう訳だが、このシーンは丁度オープニングと同じシチュエーションを取っている。最初何も怖いものが無い少年だったジョーは平気で相手を叩きのめしているが、ラスト、恐れを知ったジョーは何も出来ず、ただ殴られるだけ。この部分を“成長”と捉えようとしているようにも感じる事が出来ることだろうか?ジョーは確かに強くなったが、強くなった分、人を殴れなくなった。と言うメッセージとして受け取ることは出来る。それで正しいかどうかはともかく。

 残念なのは、やはりこれだけのものを描くには短すぎたと言う事だな。

(評価:★2)

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