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[コメント] スクリーム(1996/米)

誰がなんと言おうと、ランディ君は私の先生です。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 これまでのレビューを観ていただけると良くおわかりだと思うが、私は映画の定義付けをするのが大好き。映画を歴史的な流れに置いて考えることも、又いわゆるジャンル映画は「かくあるべき」と半分以上思いこみで書いていくのも好きなのだが、本作はそんな私にぴったりとあつらえたかのように、「ホラー映画とは」と一席ぶち上げてくれている。本作はビデオで一回しか観ていないとはいえ、これは私にとって大きな資産になっているのは事実である。ホラー映画の売れる要素を定式化し、敢えてそれをランディ(ケネディ)というオタク的キャラクタに語らせる。勿論これはクレイヴン監督自身の考えが大きいのだろうが、本来“言われる側”が“言う側に回る”という逆転現象を起こしてくれたのには感心を通り越して笑うしかなかった。

 しかも本作はストーリーそのものが過去のホラー映画のオマージュを多分に含み、しかもそれを分かるように提示しているので、知る人はにやにやして観ることが出来るだろう。なんと『エルム街の悪夢』(1984)まで取り入れてしまってるのには驚き(ほとんど自虐ギャグ)。よくぞここまでやったもんだ。ホラーの演出をふんだんに取り入れているため、波のサスペンス作品と較べると、とにかく怖く、更に知る人には笑えるという絶妙の演出が映える。

 しかも本作はサスペンスとしての出来も面白い。

 本作で嫌と言うほど「ホラーの法則」は語られるが、実はそれは主題ではない。その「ホラーの法則」の背後に「サスペンスの法則」を観客に読み取らせようとする試みがあるのだと思う。ホラーに定式があるのなら当然サスペンスにも定式がある(そう言えば先日観た『嫌われ松子の一生』(2006)にもちらっと出ていたな)。劇中でそれは語られていないのだが、サスペンス映画では、伏線と思わせぶりな態度、そして意外な人物。と言った筋立てが立てられる。つまり、「全てヒントは出した。犯人は誰だ?」と言う作り手の挑戦がそこにはある。

 それが「法則」なのだが、それを知っていつつ、本作は敢えてそれを無視する。実際本作にはほとんど伏線なるものがなく、突然犯人が自供することで決着がついてしまう。強いて言うなら、中盤までに「多分こいつだろう」という伏線を張っておいて、後半に入った途端、「彼は違いました」としてしまう。ところが事実そいつが犯人だった…はっきり言ってサスペンスとしてのストーリーは無茶苦茶である。

 これは「サスペンスの法則」馴れしてる人間には思いっきり引っかかりやすい。映画も数を観るようになると、どんな物語でも大体犯人が特定できてくるし、作り手もそこから外れないように作る。それを外すとサスペンス映画としての評価が下がってしまうから。そこに盲点があったわけだ。確信犯的に事ある毎に「定式」を口に出し、観客をそこに乗せ、覆してしまう。これが本作の面白いところ。

 ただ、これは諸刃の剣で、そもそもその定式に引っかからない人にとっては、「何でこうなるんだ!」と怒りたくもなるだろうし、ホラー的要素が強すぎるため、謎解きそのものを考える暇もないと言う人も多いだろう。

 だが、それを敢えて確信犯的に作ってしまったクレイヴン監督の挑戦はもの凄く気に入った!

 映画、特にジャンル映画好きな人間にこそ観て欲しい作品である。

(評価:★4)

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