[コメント] ハロウィン(1978/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
もし、当時この演出スタイルが斬新or流行だった、なんて事は正直どうでもいい。今見て面白いか、面白くないかで点数を決めるのだから。
で、感想。つまらん。
監督自ら製作した音楽は不安と恐怖を煽る見事な音楽で、『エクソシスト』に何処と無く似ていたが、内容自体は『エクソシスト』の方が数倍上を行っている様に思える。確かにこの音楽は特筆すべきものではあるが、それは「恐怖」や「不安」を煽るのにこそ効果的ではあるが、狂気、つまり殺人犯(=ブギーマン)が静から動へ移動する時の音楽の工夫が足りないのだ。だから、たでさえ古い映画なので細かい箇所(血糊や暴力シーン等。規制もあるのかもしれないが)の迫力に欠け、怖くないと言うのに音楽がこれでは不安しか生まれず、その狂気にこちら側は浸れないし、製作サイドの本気意識が何と無く見えてこない。
ストーリーは最初の昼間から夜間にかけて、そして向かいの家と自分の家、と言う視点で形成されている。所々上手いカメラワーク等も見られ、確かに恐怖演出は上手いのだが、上記の様に音楽と、それから暴力シーンの迫力の無さに終始圧倒され続け、恐怖など微塵も感じず、笑いもせず見ていた。
一時間半と言う上映時間で、全く退屈させない内容、と言うのは評価に値するが、如何せん怖くも無く、また笑えもせず、異常殺人者の狂気の行動のぶち切れ度に陶酔する事すら出来なかった。これではホラーの意味を成していないのでは?
大体、ブギーマンなる人物はそもそも感情が無かった、と言う設定だろう。よくわからないが、まぁ精神病院を脱走した後元の町に戻ってくるのだが、町に戻って来た意図も良く掴めないし、彼が完璧な化け物となってしまっている辺りで大きくリアリティが欠如している。
それに殺される人間も三人と言う少なさ。そこを評価するか否かがポイントかもしれないが、どちらにしろ殺される側にも生き残る側にも魅力はない。
大体ブギーマン、あんたなんでそんなに椀力あるんだよ。片手で男を持ち上げて包丁で体を貫通させたり(しかもそこに血を残さないと言う丁寧さ)。
それにあの医者と保安官。なんでホラーで即効「そんなの子供いたずら」と言って殺されるアホキャラを最後まで生かす?しかも、保安官なんて最後にブギーマンと絡みもしない。絡むのは医者のみ。しかも、一方的に銃を乱射。
考えてみればこの映画、犯人がこっそり忍び寄る所の演出は上手いが、犯人と人間が絡んでいるシーンの演出が圧倒的に下手だ。そこで殺される側の魅力の欠如と音楽の問題。
ラストシーンだって中途半端に終わる。この手の終わり方のホラーは何度も見ているが、ここまで中途半端な物は初めてだ。だってクライマックスが全く盛り上がっていないのだから、ラストで余韻に浸れる訳も無い。しかもブギーマンを「化け物」として扱って終わる。精神病院に15年間居て、元居た町に戻ってきた奴がどうして化け物になってるんだよ。銃で撃たれたり首筋刺されたりしても血一滴流さず生きている。しかも「化け物」の理由は医者が口頭で説明したのみ。荒唐無稽だね。
上手いシーンはあるが、全体的に見て退屈で何をやりたいのかイマイチ掴めない。演出もたいした事は無く、恐怖は皆無。これじゃホラーじゃないよ。評判いいだけにがっかり。
★3(←所々見られる上手いカットと、向かいの家二軒のみを舞台としたプロットの巧みさを評価。もっと演出力があれば面白くなったはず。)
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