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[コメント] 三本指の男(1947/日)

確かにこの映画は『三本指の男』であって『本陣殺人事件』ではないのだ。看板に偽りなし。劇場一体となっての「えぇーっ!」を体験すべし。
3WA.C

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







なんということでしょう!

原作通りの結末を説明し、「・・・・・・と、ここまでは真犯人の思うツボ」で原作のすべてを否定する迷推理w 

日本家屋の密室という不可能への挑戦とも言うべき原作の試みを母屋と離れとが地下道で繋がっているってことで簡単にチャラにする脚本。だったらあんな凝ったことしなくてもいいじゃん。共犯者がたくさんいるんだし。

何のために変装して村を徘徊するのか最後まで意味不明。しかも脅迫状の受け渡しまでしちゃってる始末w

おまけに最後は松の廊下で背負い投げと巴投げ。

伝説的映画だった『三本指の男』がとんでもない珍品だったとわかった時の衝撃と言ったら!  これは民◯党も顔負けの茶番劇だったのかー。

しかし、杉村春子の存在感はさすがの一言。あのなんとも言えない作品世界のなかで唯一キチンとした「仕事」をしている人だ。素晴らしい。あなたがいて救われた。

それに原節子の美しさと珍しいメガネ姿、どう形容して良いのかわからないあの髪型。こんなに安っぽく使われている原節子を見るのは初めてだ。

あとテーマ曲に琴が使われていて、なるほど考えているなあ、凝ってるなあ、楽しみだなあ、とうっかり感心&ワクワクしてしまったのだが、実際は琴も猫も鈴子も本編にはなーんも関係がなかったのだ。

だいたい、兄弟の歪んだ関係性という家族力動の心理描写がまっっったくなかったということひとつとってみても、これは『本陣殺人事件』ではなく娯楽映画『三本指の男』なのだということがよくわかるというもの。横溝先生のように「映画は娯楽」と割りきって楽しむものなのだ。

(評価:★2)

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