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[コメント] ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還(2003/米=ニュージーランド)

何度見ても途中で眠くなってしまう・・・。
ヒエロ

僕には鑑賞眼がなくなったのか?!

旅の仲間に始まる長編三編のいずれも、何故か途中で眠くなってしまう。

密度の濃いストーリーも、豊かな人物描写も、実写とCGの融合に手抜きのない丁寧な映像の作りも、広がりのあるスケールと綿密に織り込まれた音楽も、それぞれに十分楽しめるし、劇場まで足を運び、入場料を払ってまで見る価値のあるいい映画だと素直に思う。

それなのに眠くなるのは何故だろう・・・と、ふと気がついたのは、台詞一つに込められた感情と緊張感が、英語をネイティブに理解できない僕にはもしかして感じ取れないからか?つうことだ。(それ以上にエルフ語は、ちんぷんかんぷんだけど)

字幕翻訳者は超のつく一流だ。言葉の意味の置換ではなく、こと台詞に込められた想いを、たった数語の単語で訳解してしまうキレの良さでは、現在事実上の第一人者であろう(清水俊二氏が生きていたら彼女はナンバー2だが)。しかし、その彼女の手腕を持ってしても、伝えきれない何かがあるのではないか。そして、それがこれら三編の本質だとしたら・・・。

シリーズ全編には340億円もの巨額の投資がされた。340億円といえば東京芸術劇場の建設費よりも高い。 映画が文化の殿堂の一翼だけでなく、利殖の対象としても見なされている現実を考えるならば、出費を要する者にとっての投資回収期間は短い方がいいに決まっている。 逆に言えば、金だけ掛けてもいい映画は作れない事を十分承知のプロからしても、巨額を張った上に、実際のゲインが見込める公開スパンに対しても、これまた3年も掛けるリスクを受け入れることができたということだろう。 即ち、単なる投資対象としての映画を超える価値が、作品そのものにあるわけで、そのことは、単年回収を狙って強引に単作にしてしまい、カットカットし過ぎのズタボロ作品にしてしまわずに、ちゃんと連作として成立させた事からも伺える。そしてその価値がもし、原作のもつ物語性の面白さだけではなくて、異なる種族が織りなす文化のせめぎ合いを、豊かな語り口で表現しきったことでもあったならば、悲しいかな、僕にはその価値を堪能する能力がない。

もし僕がネイティブな英語圏で生まれ育ち、日本語を解さないママに字幕付の『生きる』や『椿三十郎』を見たとしても、果たしてどうだ? アンディ・サーキスほどに三船敏郎を堪能できるだろうか?

そこまで考えさせられるこの作品の持つポテンシャルは、十分に5点に値する。 しかしシネスケ基準によれば1点の英語力しか持ち合わせない僕にとっては、この三連品の深遠さとレベルの高さは、猫に小判で豚に真珠でおまけに宝の持ち腐れだ。 英国演劇エキスの濃い映画は、これだから厄介だ。

生業のお陰で毎日の様にテクニカル英語に接する機会に恵まれながら、自身の不甲斐なさと無能さに、自戒の意味を込めて3点だ。・・・・反省。

(評価:★3)

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