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[コメント] ドッグヴィル(2003/デンマーク=スウェーデン=仏=ノルウェー=オランダ=フィンランド=独=伊=日=米)

こんなのでアメリカ批判映画を語るとは言語道断。バカ映画。(本当は★1だけど映像が好きなので+1) 2004年3月26日劇場鑑賞 あーあ、また長くなったよ・・・→
ねこすけ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







前作『ダンサー・イン・ザ・ダーク』はもの凄く嫌いな映画で、一体何をやりたいのか良く分からなかった映画です。いや、人間の汚い側面を描く、と言う面では優れた作品だったかもしれないけど、だからって「その後」が無い。それをばばーっと、極端な言い方をすれば俺のレビューと同じ様に羅列しただけ。そんなモン見せられたって「だから?」と思うだけで、あんなもんに二時間半も費やすくらいなら、俺は『カルネ』とか『ファニーゲーム』を選びます(まぁ内容は多少違うけど。見終わって残るといえば嫌悪感くらい、と言う意味じゃ結構近いのでは?)

自分は、ミヒャエル・ハネケだとかギャスパー・ノエだとかが好きで、救い様の無い残酷なドロドロとしたドラマも好きです。だけど、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』と『ドッグヴィル』の2作を見た限り、ラース・フォン・トリアーは好きになれません。っていうか、この監督、あんまりこういう事言いたくないけど、大した事無いのではないでしょうか?

いや、作品としては前作よりも格段にレベルアップしているのは確かで、演劇的な演出、と言うかセット=シュールな世界の中で繰り広げられるドロドロとした「腐敗」のドラマは見応えがあったと思うし、本来はあっけに取られる所かもしれないけど、最後の最後の大虐殺にはニヤニヤと笑いが止まらなかった(←病んでる)。

あの村の人間達は、他人を知っているが見て見ぬふりをして、自らの腐敗を隠そうとする(と、言ってもそんな物丸見えなんだけど)。村全体がそんな雰囲気である以上、気がつけば村全体が腐敗してるのに、村人達は村丸ごとの腐敗すら見て見ぬ不利をする。丸見え、しかし「見えない=見ない」世界。それが、必要最小限のセットで構成された「ロッキー山脈に囲まれた小さな村、ドッグヴィル」である。

それが最も象徴されるのは、ニコール・キッドマン扮するグレースが始めてレイプされるシーンだと思う。恐らく村人の殆どは、警察に気をとられていたのかもしれないけど、彼女が犯されている事くらい気付いているはずだ(実際、その後男達が夜な夜なグレースで欲求を解消していた事も黙って居た)。しかし、セットでは丸見えなので、その何とも不思議な感覚がたまらなく心地よい・・・って病んでますなぁ(謎

他にも、白線と必要最小限の小道具のみで構成された村を真上から捉えたショットが数回挿入されている。そのシーンの、あまりに残酷で美しい事。予告編の時に唖然とさせられたけど、本編を見て、そのシュールな映像美に俺は心底惚れ込んだ。

撮影も、手でぐらぐら揺れてて、画質も他の映画を比べてクリアじゃないので見難い、と感じるかもしれないけど、むしろコレで正解だったと思ふ。理由は分からんが。

とにかく、ヴィジュアル面では結構圧倒された。その「どこか」的な無機質でシュールな世界にトンでもない魅力を感じた。勿論、そこに住む(腐敗した)人々、と言う設定にもかなりの魅力を感じた。

で、どうでもいい前置きは置いておいて(長っ!)、もう出尽くしている感じがするのだけど、結局村の人たちはグレース=新参者? に全ての腐敗をなすりつけ、ツバを吐きかけ、石を投げつける事によって自らの腐敗を隠そうとしていた。で、グレースもよーわからんが、権力を行使して弱い物イジメしてやがる親父みたいになってやるもんか、と、言う感じに、(オチを知らない)観客の視点からは悲惨極まりないが、グレースはグレースなりに理解して居たのだと思う。だけど、最後の最後に結局親父と同じ様に、全てを清算する。暴力で。凄いカタルシスだったなぁ・・・感動した!(アホ

何か、母親の前で子供を一人ずつ殺していくシーンとかなんて、こういう(良い意味で)安っぽい映像なのに、『八仙飯店之人肉饅頭』とか『ファニーゲーム』に匹敵する衝撃があったし、村の住人達が次々と虐殺され、家を燃やされていく所でも、安っぽいながら、それでもアレだけの悲惨さと出せるのは、凄い演出力だと思う。

大体、ストーリーは先が読める(オチは読めなかった。っていうか、もう面倒臭くなってた)し、3時間をそれほど長く感じなかった、と言う点ではそれだけの演出力があるのだと思うし、この作品を通して人々の腐敗やら何やらどーのこーの(←頭が悪いので誤魔化しております)を感じ取れた。大体、前作の『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のどーしようもも無いふざけたラストじゃなく、きちんと物語に収集を付け、且つ納得のでるラストで終わらせている辺り、俺は俺で納得できた。

この作品、とにかく「人間の腐敗を描く残酷な作品」として見れば、★3から★4を上げられるだけの、中々良い出来の作品だった。

で、どーして★2なのか、というと、コレが「アメリカ映画」だから。と、言う所で、以下、まだ長々と続きます。

一応、これは体育館みたいな所に必要最小限の小道具と白線のみをセットとしている世界で、一見すると「どこでもない」世界なんだけど、設定上では「ロッキー山脈の〜」と言う訳で、アメリカなのであり、さらに、イチイチ教会に集まって話し合って多数決で決めたりするのは民主主義を象徴してたりするんでしょうし、まぁ色々ある訳ですが、要するにアメリケーンな映画なんです。

大体、監督は、前作『ダンサー・イン・ザ・ダーク』を作った時に、アメリカ人ジャーナリストに「アメリカに行った事無い(監督は飛行機乗れないそうです)のに何アメリカ映画作ってんだよ」と非難された事に対して「『カサブランカ』はどーなんだよボケ!だったらアメリケーンな映画作ってやるよ!」と意気込んで作ったのが本作らしいです。本作には、「アメリカに行った事ない監督の知っているアメリカ」をありったけぶち込んだんでしょう。

で、何が言いたいか、と言うとね、どこがアメリカ批判なんでしょうか?と、いう事。で、これは個人的な意見で、監督がアメリカ批判を前提として製作したとして考えての意見なのですが・・・

今の所、2作品見た限りでは、この監督は人間の負の部分、と言うか人間の本質を描き出す監督らしい。その負の部分を、徹底的に汚く、残酷に突き放して描く。人間を可能な限り突き放して、そこから普遍的な悪、つまり人間の心の中に巣食う本質的な腐敗=この映画で言うドッグヴィルの村人達が持っている腐敗、を曝け出す。

それは、前作『ダンサー・イン・ザ・ダーク』でも徹底して行われており(だからと言って、あのオチで映画を終わらせるのは身勝手と言う物)、今回でも徹底して行われている。親切の裏側にある腐敗。この作品で描かれたのは、普遍的な腐敗ではないのでしょうか?誰もに共通する、心の中のダークサイド。

そういうモノをシニカルに描くのも、グロテスクにストレートに描くのも、それは監督の勝手であって、それが面白いか面白くないかなんて、観客の好みの問題でしかないから、やりたければ勝手にやればいい。実際、俺もやりたいし。

ただ、問題なのは、「普遍的な悪=人間」を通して特定の「何か」、又は「誰か」を批判できるのか、と言う事。普遍的な悪を「人間」として描く以上、映画で描かれる人間は勿論の事、演じている役者だって作り手、勿論監督本人だって、世界中の誰もがそれに当てはまる。人間を否定する、と言う事は、それ以外の何物でもない。

その「何か」が「誰か」で形成されたコミュニティであり、それを批判するのに「普遍的な悪=人間」を利用する、と言う事は矛盾している。それは、アメリカ人を批判して、自分たちの中に巣食っている「腐敗」を隠している、否、監督は手前の「腐敗」を隠す為にアメリカ人を批判しているとしか思えないのだ。自分の腐敗した負の部分を棚に上げて「アメリカ合衆国は腐ってます」て告発してるつもりか?アホか。そんなんアメリカと一緒じゃないか。

描き出したのが「普遍的な悪=人間」である以上、アメリカ人も日本人もデンマーク人も何もかも、全ての「人間」が悪(を持っている)なのである。物語を語る上で、ドッグヴィルという村を描くのに白線+少数セットで構成したのは正解である。しかし、この映画に於いては、星条旗も大統領も存在しない。ドル紙幣やギャング、民主主義、そしてナレーションと言う手段を用いて観客に「ここはアメリカです」と提示する。しかし、あのセットで作られた空間は、逆立ちしてもアメリカに見えるモノではなく、極端に言えば地球上のものとは思えない。まぁエンドロールにあんな歌流してる(「ヤング・アメリカ」でしたっけ?詳しくないので知りませんが)辺り、やっぱりアメリカを意識してるのは明白なんですが。

しかし、エンドロールを別にして、そんな中途半端にアメリケーン気取って楽しいんでしょうか?その村に住む人々とグレースの関わりを通して、人々の腐敗を描き出す事でアメリカと言う国を浮彫りする、と言うのは何かが間違っているのではないでしょうか?

例えば、直接的に「アメリカ」、もしくはどっかの頭の悪い中学生が殺し合う日本映画みたいに「某国」とか言って分かり易く提示し、そこを徹底的に叩くならともかく、「人間は皆腐ってるんですよ。所詮こんなもんでしょ」という冷めた視点を一貫しておいて、最後の最後に「アメリケーンは腐ってやがる!」と批判した所で、「じゃ、お前はどうなんだよ」、と。

監督、あんたが一番腐ってるんだよ。気付けよ、バカ。

別に俺はアメリカを批判する映画を作る、とか人間の汚い部分を一貫して描く、と言う姿勢には反対しませんし、それで素晴らしい映画成りえるのでしたら、映画ファンの僕は大歓迎です。

だけど、この映画は明らかに矛盾していると思います。

えっ?何?何も分からないガキは、こんな訳の分からない駄文書かずにマスかいてろ?はい、すみません。

優しい人、「お前間違ってるよ!」or「感想の感想」大歓迎ですので、優しくメール送ってください。

(評価:★2)

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