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[コメント] この世の外へ クラブ進駐軍(2004/日)

時代を見る監督の視点は良いのだが、それがうまくはまってないのが問題。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 本作は阪本監督自身が持つ太平洋戦争に対する精算のつもりで作られたように思えるのだが、なんとなくそれが上手く噛み合ってない感じがある。多分それは監督の戦争に対する思いというのが一方的すぎるらしく、結局は「戦争はやっぱりいけないね」という無難なところに落ち着いてしまったからなんだろう。

 この時代に作られた、しかも時事に聡い阪本監督だったら311からイラク戦争に至る時局のアンチテーゼが入るかと思った。実際それは確かにあったのだが、その部分が直接的すぎて逆に出来の悪い反戦映画にしか見えず。意気込みは強くても物語が今ひとつ。ごつごつしていても良いから、もっと監督の顔が見えるような物語を作って欲しかった。

 それぞれの若者達のエピソードはそれなりで悪くないのだけど、その絡み合いが今ひとつ練れてない感じで、最後に大きく絡み合った物語になってくれなかったため、カタルシスも低い。そこが上手くいっていれば最後の演奏が相当に盛り上がったはずなんだが。

 結局監督の思いが空回りしただけで終わってしまった感じだな。

 時局に対し物言う監督の姿勢だけは評価できるが、それを上手くいかせなかったのが本作の失敗だろう。

(評価:★2)

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