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[コメント] ギャザリング(2002/米=英)

私はリッチのファンですが、何故そんなにこの人に惹かれるのか、というと、やはりこの人の目が好きなんです。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 リッチの魅力ってなんだろう?と考えてみると、どこか浮世離れした神秘的な部分がある点なんだが、その逆か?とも思える。この人の目はとにかく冥い。その目にはまるで闇を見ているような、不思議な印象がある。だからむしろ、神秘というよりはデモーニッシュな魅力の方が強いと言うことなんじゃなかろうか?

 この暗さは、これは大きな強味であると共に、役を徹底的に狭めることになってしまうのだが、その辺を分かってる監督に描写させると、異様なほどのはまり具合を見せる。

 その点で言えば、本作は彼女の魅力を本当によく引き出していた。自分自身のことまで分からず、しかも邪眼まで持つと言う設定は本当に見事だ。彼女をしっかりと受け止めることが出来ていた。

 又一方、主人公が記憶をなくしていることから、一種の記憶を紡ぎ出す推理ものとなっているし、数多くの伏線もしっかり消化できていた。観ているこちら側としても、最初の居心地の悪さが、徐々にあるべき場所にはまっていく過程を楽しむことが出来る。オカルトものとして考えるならば、これは教科書的な巧さと言っても良い。

 ただ、一面私は本作にはまれない部分もやはりあった。

 一番の問題点は、“ギャザリング”として、集まった人間が何でこの町にわざわざ集まってきたのか、と言う説明がすっぱりと抜けてる。彼らは“観る”ことしか出来ないのだが、他にいくらでも観るべき場所(つまり悲惨な場所)はあるだろうに、何故この町なんだ?その辺は説明してくれないと分からないはずなのに、そこが全く抜けてるのが説明不足過ぎ。それに、何でギャザリングの面々はみんな中東じゃなくてヨーロッパの人たちなの?その点、一言でも説明入れられたら良かったのに。

 あとこれは完全なる好みの問題だが、オカルトとして描くのであれば、ハッピーエンドで終わって欲しくなかった。最後、キャシーはマイケルを守りきるのではなく…自分の幻視を実現するためにマイケルを…なんてオチにするのか?とか期待してた自分が確かにいるもので…いや、そりゃ確かに悪趣味だけどさ。だから、どうしてもオチが弱く感じてしまって。オチが予想通りであったら、どれほど後味が悪くても、多分点数は跳ね上がっただろう。

(評価:★3)

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