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[コメント] ゆうれい船 前篇(1957/日)

全体的に凄い若作りの作品。この強引さを“無理”と見せない所が腕の見せ所だったんでしょう。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 大佛次郎原作を中村錦之助を主人公に、前後編で製作された歴史活劇もの。前編である本編は歴史に忠実な勧善懲悪ものとして仕上げられている。

 歴史的に見ても、1565年に松永弾正が足利将軍を倒し、そこから混乱が始まったのが戦国時代の始まりと言うことで、歴史の混乱期を舞台に、これを利用して肥え太る商人と、それに対して立ち上がる民衆。そのどちらの立場にも立っている主人公。という立場は、時代劇映画では最も面白いパターンだろう。その苦悩を経て、民衆の側に立つ。というのは定番とはいえ、やっぱりすかっとするものだ。こういうカタルシスが得られるってのだって、映画の醍醐味なんだから。

 当時25歳という中村錦之助が少年役をやるのを初めとして、当時45歳の大友柳太朗が青年役とか、全体的に若作りが過ぎて相当に無理がある気はするが、これが東映得意の“見立て”というもの。そう言うのを鷹揚に観るのがこの手の作品の醍醐味とも言える。ただ、犬のシロについてだけはちょっと疑問あり。これって物語上必要だったんだろうか?

 話自体はこの作品単独でも一応完結しているものの、最後は逃げのびて、ゆうれい船を目撃。と言うところで終わる。てっきりここから再起して…と思ったのだが…後編に続く。

(評価:★3)

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