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[コメント] ハレンチ学園(1970/日)

これが70年代。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 「少年ジャンプ」に連載された永井豪原作漫画の実写化。非難が殺到したがヒットし、71年までに4本が製作されるヒット作となった。

 1970年代の最先端を走っていた漫画家と言えば、その第一人者として挙げられるのがこの永井豪。特にこの「ハレンチ学園」は、その内容があまりにも不健全すぎた。性的暴力的に行き過ぎただけでなく、「聖職」と言われる教師たちが金と欲にまみれた存在で、そんな教師を叩きのめして溜飲を下げる生徒の姿が描かれ、PTAの槍玉に挙げられ、大論争を呼んだことでも知られる。折しも安保闘争が激化する社会情勢下、表現の自由を求める青年たちはこの漫画を諸手を挙げて賛成したため、話はどんどんややこしくなっていった。内容もさりながら、それをとりまく環境が大変面白い作品でもあった。

 私が小学校に上がった頃にはすでに連載は終了していたが、誰それの兄貴がこの漫画を全巻持っているということで、何が悪いのか全くわからないまま、何人ものガキたちがそれを回し読みしたものだ(ちなみに私の生まれ育った田舎ではテレビドラマの方は放映してなかったと思う)。

 そんな大論争のまっただ中で作られた映画本編は、やはりとんでもないもの。漫画の行き過ぎた部分はぼかしていたが、教師も子どもも全員モラルが欠如してやりたい放題。物語自体にも全く収集ついてない。正直、物語を真面目に論ずるのは無理というものだ。

 でも、この作品にはとても良い部分もある。何より出てくるキャラがみんな溌剌として、とても楽しそうなのだ。折しもテレビで「ゲバゲバ90分」という番組が放映されており、その出演者たちが大挙して出演しているのだが、テレビ以上のはじけぶりで楽しませてくれる。

 後に何人かによって演じられることになるヒゲゴジラはやっぱり藤村俊二版が一番はまってるし、何かというと銃を撃ちまくる宍戸錠は自身のフィルモグラフィーのパロディとして、そして相変わらずほわ〜っとした役回りの左卜全(「老人と子供のポルカ」を全曲流すあたり、本当にやりたい放題だ)と、ドタバタぶりに磨きがかかっているし、対する子ども側もその個性に負けてない。

 あんまりにもバカバカしい作品だけど、そのバカバカしさを楽しめるなら、本作はかなり面白い。

(評価:★3)

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