コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] パリ空港の人々(1993/仏)

国境の上にだけ存在する御伽の国のお話。
づん

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







国の境目、空港・トランジットはまさに御伽の国のよう。現実世界にこのような空間が存在している事に驚きます。空港は異国だけでなく、異世界へのトンネルも有しているように思えてきます。

こういう事を言うと反感を買うかも知れませんが、この自由のないトランジットという御伽の国は、同時にどことなく安心感があり、そこに住む人々はまるで母体の中でこの世に生まれてくるのを待つ赤ん坊のように思えました。不自由ながらも安心して眠れる母体を離れ、この世に生まれた瞬間から、人間は自由を得ると同時に、危険に身を晒す事にもなります。それでもこの世に生まれる事の素晴らしさ。

少年はようやく誕生の時を迎え、困難の海に漕ぎ出した訳ですが、そこにはなぜか絶望感はなく、希望の光すら見えた気がします。普通に考えたら、あの行動が正しいとはとてもじゃないが言えないけど、でも違うトランジットへ移動する事よりはまだ希望があると私は感じました。

大晦日にみんなで見たパリの美しい夜景、私には滲んで見えてしょうがなかった。残された御伽の国の住人にも、早く誕生日が来ますように!!

----------

09.05.15記(09.05.11DVD鑑賞)

(評価:★5)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。