コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] しあわせな孤独(2002/デンマーク)

ニルスの娘を演じるスティーネ・ビェルレガードは顔立ちが鈴木杏にそっくりで、ニルスへの冷たい視線の表情演技がなかなか上手かったのが印象的。
わっこ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







事故の被害者の婚約者の女性と加害者の家族である男性の恋愛を描いた映画。

最初の展開だと、事故の被害者男性ヨアヒムと加害者の女性マリーの2つのアプローチでエピソードが描かれるかと思ったが、内容的に被害者、加害者の愛人同士が事故をきっかけに恋愛関係になってしまうというやや典型的なパターンに走っている。普通に考えれば愛人が事故に遭ってるのにもかかわらず、恋愛関係になってしまうセシリとニルスの行為は酷いのだが、それにかかわらずこの映画で被害者に当たるセシリとニルスの愛人と妻であるヨアヒムとマリーに今ひとつ共感が持てないのは、2人とも意識に欠けているからである。

ヨアヒムの場合、マリーが毎日お見舞い来て、慰めているのに気遣う様子もない。それが事故のショックによるものなら仕方ないが、マリーへの自分の仕打ちを棚に上げといて、マリーがニルスに取られた事を知って怒るヨアヒムの姿を見てもあまりかわいそうに見えない。一方加害者のマリーの場合は、自分でマリーの心のケアを夫のニルスに頼んでおいて、事故に関してはそれ以来かなり他人行儀に見ているのに、ニルスがマリーと浮気していることを知り逆上するのは実に図々しい展開。彼女の場合は罪の意識に欠けていて、被害者の立場に置かれていても全く感情移入できなかった。なのでこの2人がマリーとニルスの裏切りに遭ったとしても、この2人の行動を見る限りでは自業自得というぐらいの感情しか抱けなかった。

セシリとニルスが浮気してからの展開は事故のことなどどうでもよくなってしまい、どちらも事故のことでの罪悪感が全く感じられないのでは、いくらセシリとニルスの状況を考慮しても2人の関係にも少し嫌味が出てくる。

ただ、ラストに関しては元にさやに収まらずそれぞれの新しい人生をスタートさせるという前向きな姿勢で終わらせている辺りは非常にリアリティがあり好感が持てる。

総評としては事故の被害者、加害者にスポットを当てたドラマを期待するとかなり裏切られる映画。

役者としてはニルスの娘を演じるスティーネ・ビェルレガードの顔立ちが鈴木杏に非常にそっくりで、ニルスへの冷たい視線の表情演技はなかなか上手かったのが印象的。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。