[コメント] 天国から来たチャンピオン(1978/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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『幽霊紐育を歩く』のウォーレン=ビーティによるリメイク作品。オリジナルでは主人公はプロボクサーだったのに対し、今回はフットボール選手となっている。そう考えてみると、変なタイトルだ。原題『Heaven can Wait』を邦題にする際、何か混乱が起こったのだろうか?オリジナル作品にこそこのタイトルがふさわしい気がするんだが…(事実この作品は全くの予備知識なしに観たので、てっきり最初はタイトルで主人公はボクサーと思っていた)
それは兎も角、本作はアイデアが非常に面白い。しかもビーティ扮するジョーが入り込んだ肉体は完全にビーティその人なのだが、それを周りは全く気が付かないと言う暗黙の了解が、まるで舞台劇を観ているようでとても気に入った。
ややナルシスト気味な役が多いビーティだが、これはそれが上手くはまっていて、全然それが嫌味じゃないし、天使役のジェームズ=メイソンのとぼけたポーカーフェイスも良い(私も困った時なんかはこんな表情になってる時がある)。でもこの作品で好きなのはやっぱりマネージャー役のジャック=ウォーデン。自分の想いの範疇を遙かに超えた事実を前に、健気に理解しようとしている、人の良い男の役を見事にこなしていた。悪女役のダイアン=キャノンも良かった。
それにこの作品は小物がとても良い。何故か死んでしまうとビーティが必ずスエット姿になってしまうとか、彼が常に愛用しているサクソフォン、これが又良い効果を与えている。そうそうレバージュース(おえ)もあったっけ。
そう言うことでストーリー、設定、描写、役者、小物と見事に私の好みなのだが、一つ肝心なところで外してしまった。ラストシーンでの、あのオチは無いんじゃないの?他人の生として一生を生きることに何の意味がある?“私という意識”のない一生など、天使のミスで済ます問題では無かろうに。
ラストの余韻は決して悪くないんだけど、どうもそこが引っかかって、最高点は上げられない作品。
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