[コメント] MASK DE 41(2001/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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予告見てもの凄く期待して見に行った。何が俺をこんなに期待させたか、と言うと、恐らく「41歳。人生賭けてリングに立つ」と言う謳い文句に血が騒いだんだと思う。こういう“背水の陣”的なカッコ良さは大好きで、まぁアレか、『ロッキー』みたいな物か(全然違
オープニングからドギツク俺を引き付ける。「田口トモロヲIN『MASK DE 41』」か、かっちょえぇえぇえぇえぇ。なんだ、このまま朝、鏡を見たら金属片が顔についてて・・・ってなってもいいんじゃねーのか?と、一人『鉄男』的妄想を膨らますのだけど、まぁそんな事どうでもいいや。
いや、ガッカリなんだよなぁ。コレ以降、何かテンションが右肩下がりに落ち続けて、結局ラストのファイトシーンは、全く熱くなれず。キャッチコピーほどの「人生賭けてリングに立つ」と言う程の熱さが見られず、非常に残念。
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いや、こういう企画はありだと思うし、映画としてつまらないとは思わない。俺の期待の方向が違ったんだろう。多分。
松尾スズキのダメ人間的ギャグは、個人的に殆ど、と言うか全く、と言うか、面白くなくて、首をかしげていたのだけど、まぁいいや。ダメ人間っぷりはちゃんと表現されてたし。それに、『恋の門』見ててもそーだし、この人、そう言う人なんだね、きっと。うん。勝手に納得しとこう。良く分からんけど。
で、まぁ出だしは、田口トモロヲがリストラされるまでと、家庭の崩壊っぷり、主人公のプロレス熱狂ぶりと松尾スズキのダメ男っぷりを描きながら、着々と物語りは進んでいき、うん、中々面白そうだ、と一人ごちていたのだけど、どうもおかしい。いや、勿論俺の期待と違う方向に進んでるから「おかしい」と思うだけなんだけど。
俺が見たかったのは、そう、田口トモロヲが急にトレーニングを始めて闘志を心の中で燃え滾らせている姿なんだ。「お父さんじゃない。MASK DE 小鉄だ!」と声高に宣言し、走り出す彼の熱さなんだけど、それがどうも中々持続しない。うーん。どうなんだ。
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結果的に、彼は仲間が怪我した関係でリングに立つチャンスを得るのだけど、なんだかなぁ。ココまで来て、何箇所かで「熱さ」を感じてはいるものの、クライマックス、いざリングへ、と言う肝心な所で、こういった作品特有の、何か燃え滾るような熱いものがスクリーンから溢れてくる、ていうのがなかったのだけど、それってこの手の物語としては割りと致命的な問題じゃないかと思う。
結局彼は「怪我したレスラーの代理」以上の役割をこなして居ない気がする。俺が、田口トモロヲがリングインする瞬間に感じたかった物は、もっと熱く激しいパッションなんだ。それも、色んな物(息子に対する父の威厳、家庭の再生、リストラした奴を見返す、過去を清算する、みたいな)が入り混じった、とんでもなくギラギラと熱いハートなはずなんだけど、なんか、なんの事もなく、淡々と終わっちゃった気がした、と言うか。うーん。
そこに至るまでもきちんと描きこまれていて、それ程の不足を感じなかったのだけど、何か根本的な「熱さ」が決定的に欠如している気がして、この作品の評価を下げる重大な要因となってしまっている気がする。
◇
この作品で猪木の詩の朗読シーンがあるが、まさにソレだろ?
映画が描きたかった事は、単なるプロレスではなく、“人生と言う名”のプロレスだろ? いや、良く知らんけど。っていうか、プロレスの知識無い人間がこんなこと書いていいのかな。まぁいっか。
だったら主人公の周囲を丁寧に描きこむ事と同時に、主人公の中に燃え滾る強烈なパッションを露骨にスクリーンに投影すべきじゃないかと、俺は強く思うのだけど。っていうか、ソレが決定的に欠如してる気がしてならない。
「なけなしの退職金をはたく」という一大バクチは、まさに「この道を行けば、どうなるものか。危ぶむなかれ、危ぶめば道は無し・・・」と同じことだよな(ってこの詩って本来猪木本人が創作した物じゃないんだっけ?まぁいいや)。
それだけの一大バクチをしながら、なんか微妙なテンションで突き進むこの物語にどうしても俺は納得できなかった。
コレだけ絶好の材料を揃えてるんだ!もっとパッションを!!
◇
ぁ、でも、最終的に暖かい切干大根で映画を終わらせたのは、心から素晴らしいシーンだと思う。
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