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[コメント] スクール・ウォーズ HERO(2004/日)

★5は甘すぎかもしれない。細かい部分で何度も何度も作品の安っぽさを痛感し、あからさまに嘘臭い台詞の連続はホントに恥ずかしい。実にうそ臭い教育映画かもしれない。でも、俺は素直にこの映画を支持したいと思う。 2004年9月19日劇場鑑賞04年10月7日再鑑賞10月8日再々鑑賞
ねこすけ

学び座』と言う映画があります。安達祐実とかガッツ石松とか、有名な人も出演している映画で、「文部省選定」を受けた、所謂「教育映画」とでも言うのでしょうか。僕は、どういう巡り合わせか、この映画を2度程鑑賞した事があります。地区の自主上映と、学校での体育館での上映。

話の内容はこの映画と全く同じ。ただ、ラグビーが別の物になっただけ。

ただ、両者ともに決定的に共通しているのは「安っぽ」くて「教育的」で「うそ臭い、半ば強引な展開」。悲しいかな、それが作品の見た目を悪くしている。だけど、それでも見て欲しい。

もしかすると、この映画も『学び座』と同じ様に「知る人ぞ知る映画」にしかなれなかったかもしれないんだぜ?そいつを劇場で見れるんだ。きっとビデオ化もされるんだ。

大黒魔季の主題歌がミスまっちだなんて気にしないで見て欲しい!(補足9月20日:この歌、ドラマシリーズの主題歌なんですね。なら仕方ないか)

以上、宣伝活動でした(意味不明)

以下ネタバレ含む。

で、その『学び座』は、細かい部分はきちんと覚えていないので、どういう経緯で学校が立ち直ったか、と言う決定的な所をきちんと思い出せないのだけど、結局ここでも、暴れている生徒以上に周囲の集団的無関心が彼らをエスカレートさせていただけで、結局周囲から変わった結果が「更正」に繋がった。

この作品も同様に、生徒を変える前に教師側の態度が変わった。全てはそこから始まる。

そして、そんな主人公自身も、敵高校に自分のチームが大敗した時に気付く。「俺は生徒と同じ目線に立たなければダメなんだ」そして、全日本の肩書きを捨て、一人の教師として生徒と向き合う。いや、もはや彼はその時、生徒にとって教師以上の存在になっていたのかもしれない。それは、この作品で俺が最も感動したシーン、感動した台詞に描かれている。

大敗した時、主人公・山上は生徒に「明日から(勝つ為に)地獄だ!悔しさをバネにしろ!俺が勝たせてやる」と檄を飛ばす。しかし、その際に生徒を殴った事により一週間の謹慎処分を受ける。それを受け、生徒達は山上の自宅まで押し寄せこう叫ぶ。

「教育委員会が大事なんか?俺らが大事なんか?」

(ラグビーのルールは分からないけど、ラグビーシーン以外で)ディテールや演出は正直ボロボロで、本当に「低予算の文部科学省の為の映画」という印象を受ける(ただ、公式サイトのどこを探しても「選定」の文字が見当たらないのはどうした事か!!!)。それ程までにこの映画は安っぽく見える。

特に、クライマックスのラグビーシーンは、決定的に盛り上がりに欠けている気がしてならないし、最後の最後で死んだ生徒が描いた絵とか出してくるけど、俺にはどーもコンピュータ使って描いた絵にしか見えなかったぞ!70年代だろ!?この映画。

そういう点を考慮したら、俺は★5はいくら何でも甘すぎると思ったし、胡散臭く、どこからどこまでが実話でどこからどこまでが脚色か、そーゆー疑惑が頭をよぎるほど良く出来すぎた物語で、正直げんなりする。おまけに、最後の最後に主人公に「教育論」を語らせた地点で、この映画はダメだ、と思った。

でも、それでも俺は「俺らと教育委員会どっちが大切や!?」と生徒と建前を天秤に賭けたあの台詞、体当たりで生徒を殴りながら一人一人を大切に思っているこの糞先公、嫌いになれねぇんだよ。嘘臭い台詞並べてても構わないよ。それがどれだけファンタジーでも(っていうか実話なんだけどね)俺は構わないよ。

俺は、この映画が描く「人間と人間のぶつかり合い」に、素直に惚れたんだ。

どうでもいいけど、エンドロールで流れる大黒魔季の主題歌はちょっと派手すぎて合って無いと思います。それから「LOVE! SA-YA 会員の皆さん」というクレジット。思わず笑っちゃったよ。

あぁ、そうそう。あぁいう不良の巣窟に、あんな女子高生が入ってってさぁ、レイプとかされねぇの?マジで。俺、ずっと心配だったんだけど。

以下、愚痴めいた私事めいた事。

さて、時代は移って現在は、俺の知る限りこんな高校お目にかかって無いし、生徒もある程度丸くなってる気がする。勿論、今でも反抗する生徒は居る。

うちの学校は一応名門校と自称している進学校なんだけど、そこに居て時々思うんだよね。

イジメに無関心なのはいつの時代もそうだから、コレは別として考えて

「国公立大学○○○人合格を目標に・・・」と、校長が入学式で嬉しそうに目標を話し、学校側が生徒を「一人でも多く進路(学校にとってみれば国公立大学)実現するように」サポートする世界と、秩序がなくなり、不良が溢れ返った世界と、どっちがまともなのかな、って。

勿論、常識で考えて明らかに前者がまともなのは確か。俺だって後者の様な学校に自ら進んで入りたいとも思わないし、前者に対して違和感を感じるのは平和ボケを象徴しているだけなのかもしれない。

しかし、どちら側にも、“生徒一人一人をマジに考えている”という体勢が読み取れないのは共通していると思う。別に先生一人一人が生徒の事を考える必要は無いと思うし、それは甘えだと思う。

だけど、「国公立大学に○○人入れる」というヴィジョンを実現する為に機械的に学習要領を詰め込むぐらいなら、学習塾の方が遥かに優れている。そこが学校である以上、「でも、それは表面だけだから」と言い訳をするのではなく、表面からこそ、生徒一人を大切に思っている、と見せるべきではないのだろうか?

そして、「生徒に対して」と「建前だから」を天秤にかけろ、と生徒に叫ばれた時、「生徒に必要とされている」と実感して涙を流す、そのぐらいの気持ちが教育じゃないのか?洗脳じゃないし、生産でもない。学校って環境は「教えて育てる」所じゃないか。

「人に必要とされる事なんて滅多にないんだぜ」、とはこの映画の間寛平の台詞。

10月8日、三度目の鑑賞後追記

ラストのデジタル臭いフーロー(白血病の子)の絵が、何度見ても興醒めなんだけど、俺ならあそこ、フーローが書いた「もし、伏見第一が全国制覇したら」の時のコラム記事を出すね。で、そいつをSAYAKAか誰かに読ませる。その記事の中には、小渕や後藤シンゴや荒井の活躍ぶりが事細かに書いてある、みたいな内容にするね。絶対、その方が自然だと思うし、泣けると思う。

えーっと、沢山言いたい事あるのだけど、ダラダラ長いので、詳しい事は俺の日記にダラダラ書いてます。暇な人はそちらどうぞ。

一度目鑑賞後:http://nikki.gaburi.com/index.php?pn=gbdi_ft_myd_day&u=103246&dsq=1&m=1507457&ymd=20040919

二度目鑑賞後:http://nikki.gaburi.com/index.php?pn=gbdi_ft_myd_day&u=103246&dsq=1&m=1518004&ymd=20041007

三度目鑑賞後:http://nikki.gaburi.com/index.php?pn=gbdi_ft_myd_day&u=103246&dsq=1&m=1519086&ymd=20041008

(評価:★5)

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