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[コメント] CODE46(2003/英)

文型人間の理系映画?遺伝子と言う名の運命が二人を引き付ける。何てロマンティックな映画なんだ、と思う反面、コレを化学的に分析したらすげー面白くなくなりそう。 2004年11月14日劇場鑑賞
ねこすけ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







劇中でも説明されているが、クローン同士は遺伝子が同じと言うだけであって、育った環境などにより別人になる。なので、見ていて「ティム・ロビンスはクローンの息子。サマンサ・モートンはティム・ロビンスの母親と同じ遺伝子(だっけ?)って事は、誰でもいいわけか?」と感じたのだけど、良く考えてみれば、ここでいうDNAとは、単純に、恋愛に於ける”運命”のメタファーでしかないんだよね。

やはりコレは文型人間の映画だ(と、俺は思う)。まぁマイケル・ウィンターボトムが文理どっちのタイプの人か知らんし、それ以上に人間を二分化するなんてしょーもない事しようとは思わないからどうでもいいのだけど。

期待していた作品ではあるが、期待通りと言う所か。

正直最初の1時間は世界観等を語るために費やされている感がして、少々退屈だったのだけど、「サマンサ・モートンがCODE46違反により、妊娠の記憶を消された状態でも、それでもティム・ロビンスを愛してしまい、二人で旅に出る」と言う展開(要するにクライマックス直前か)になった辺りから、物語が急加速的に面白くなっていき、最終的に美しくも残酷で儚いラブロマンスに終わる所に、期待通りのこの映画の姿を見た。非常に上手い。

旅に出た時、ホテルでティム・ロビンスがサマンサ・モートンの手足を縛り始めた時、思わず笑いそうになったのだけど、あれはCODE46を違反した時に施された肉体的・記憶的処置の関係で、脳に関係なく体が抵抗してしまうのをどうにかして防ぐ為、と言う事だったわけだ。ウワッ、ギャグ紙一重のシーンを堂々とやるこのセンスに脱帽だ。

如何に第三者に管理され、人為的な処置が施され様とも、遺伝子と言う名の運命によって導かれた二人の愛を引き裂く事は出来ない、そんな事を象徴する見事な1シーン。このシーンがあったからこそ、俺の中でこの映画の評価が急加速的に上昇した。

しかし、物語は結局悲劇で終わる。「I miss you」の言葉がひたすら響くラストシーン。ティム・ロビンスは家族の下に帰り、事実を知っている妻は、記憶を消された夫と、何かしらの障壁を感じながら愛し合う。その傍ら、もう決して会う事の出来なくなったサマンサ・モートンは、街の外で放浪しながら、その愛の苦しみを感じ続ける。

痛い。痛すぎる。

愛故に彼女自身は心の中で痛み(=「あの人に会いたい」のに会えない、と言う現実)を感じながら一生暮らしていかなければならない反面、もう会う事が無いので、何も知らぬまま生きていく男と、運命によって引き合わされた相手が居る事を知りながら、それでも旦那を愛し続ける妻。

イタタタタタ。なんつー美しくも、強烈に痛々しいラストシーンだ。

(評価:★4)

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