[コメント] ハウルの動く城(2004/日)
作品の焦点が明らかに定まってません。愉快か不愉快かはともかく、いままでの作品ではうるさいくらいにメッセージ性を打ち出していた監督のこだわりの姿勢は一体どこへ行ったのでしょうか?
「この城が動く!」ってキャッチコピーでしたけど、ハウルの城が精密かつダイナミックに動いても「だから何?」という感じ。ストーリーにもあまり絡んでないし。
メッセージとして監督が作品にこめたものは分かりますよ。18歳にして老成したソフィーは心の成長が止まり、心をなくしたハウルは化け物に変身し、「戦争」という情緒無用なものに参加する。そんな2人が出会い、欠落した心を補完しあい、お互いにかけがえのない一個の存在になるってことなんでしょう。動く城にいるマルクルやヒン、荒地の魔女はファミリーという位置づけですかな。
そもそも、この作品内で行われている「戦争」って誰と誰が交戦し、どのあたりに「争い」がもたらす結果が描かれているのでしょうか。ナウシカやラピュタでは「争い」のもたらすもの(=市井の人々の無残な死)がきわめて明確に表現されていたのに。そこの描写が不明瞭なため、ハウルの人物設定が謎だらけです。
なんといってもハウルは普段の生活から一番遠い「戦争」に四六時中身を投じているわけですから、もっと心をなくした(=ある種の浮世離れした感じ)部分を鮮明に描き出さないといけません。
毎度ジブリの作品を観るときに起こる頭痛の原因である「タレントを声優に起用」に関しては、事前の配役を見て心配だった木村拓哉は本職の声優と比べても遜色ないくらいの仕事振りでしたが、倍賞千恵子は90歳はともかく、18歳の声は無理がありますね。いかにも「肩肘に力を入れて演技してます!」という感じがビンビンして、違和感ありまくりでした。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (3 人) | [*] [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。