コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] きみに読む物語(2004/米)

「今も涙が止まりません!」的な安易な感想を流すCMや、その必要性が全く分からない日本版エンディングの用意等、日本のえげつない宣伝方法である意味相当損をしている映画だと思います。
づん

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







劇場から出てきた客を捕まえてインタビューするみたいな映画のCMをたまに見ますが、ああいった類のCMを流す映画は自分のアンテナにあまりひっかからない作品が多くて、この『きみに読む物語』も例外ではなく、全く見る気はなかったんですが、この映画の公開当時、恋人がニュージーランドに留学に行ってまして、本当に毎日手紙を送ってきました。一日も休む事なく毎日です。その事を友人に話していたら「この前観てきた『きみに読む物語』みた〜い」と言われ、んじゃまぁ観てくるか。という感じで鑑賞してきました。

友人から仕入れた事前情報がソレだったので、てっきり手紙メインの話かと思えば全然違う。要は最近流行りの純愛映画。単なる流行モノかと思いきや、あながちそうでもありませんでした。

まず、実話ベースという事で泣かせる演出は否めませんが、それほど鼻につかない。それから、華美なキャスティングを避けたところも良かったんじゃないかと思います(意図的かどうかは分かりませんが、少なくとも日本では馴染みの薄い俳優陣だと思います)。その割に主人公の二人が結構いい味出していたと思います。

若かりし頃の二人のやりとりもそれなりに素敵だったんですが、私はこの作品では圧倒的にアリーの母親に心奪われました。自分の恋を邪魔する人って大抵が両親だったりして、私も実際両親に反対されるような相手とばかり付き合っているので、初めはこの母親の存在がうっとおしくて。それが終盤にかけて単に反対している訳ではない事が明るみに出ます。この映画の場合は「身分の違い」が両親に反対される原因でしたが、どんな時も親っていうものは自分の子供が可愛くて仕方がないんだなと思うと、それだけで目頭が熱くなりました。母親がどんな気持ちで二人の恋を反対していたのか、それはもう娘の幸せを切に願う、ただそれだけの気持ちなんだと思います。1年間送られ続けてきたノアからの手紙を娘には渡さなかったものの、その手紙を捨ててはいなかったというところに、母親の娘を想う気持ちが込められていたと思います。

ラスト直前まではいい具合に涙腺を刺激されていたんですが、最後は少し興ざめ。アリと言えばアリなんでしょうが、やっぱり夫婦が同時に息を引き取るなんてあまりにロマンチックすぎ。ラストをもう少し捻ってくれていたらもっといい映画だったのになーと思います。

冒頭にも書いた「今も涙が止まりません!」的な安易な感想を流すCMや、その必要性が全く分からない日本版エンディングの用意等(映画の後にPVを流すなんて言語道断)、日本のえげつない宣伝方法である意味相当損をしている映画だと思います。宣伝とは裏腹に、決して派手な映画ではありませんが、控えめながらも良質な映画だったと思います。

----------

05.11.02 記

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。