[コメント] ステイン・アライブ(1983/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
作品自体は決して悪いものではないのだが、なんだかバランスが取れてない印象がある。
その理由として考えられるのは、スタローンがトラヴォルタのトニーを無理矢理自分の土俵に持ち込んでしまったからではないか?と思う。
かつて『ロッキー』(1976)の脚本を描いたことからも分かるが、スタローンの思いは“アメリカン・ドリーム”にある。それは才能を持つものが、自ら埋もれてしまうことを潔しとせず、努力によって栄光を勝ち取るというものになる。
ただ、スタローンが作るとバリエーションが低くなってしまい、この作品も『ロッキー』及び『ロッキー2』をミュージカルにしてしまったような感があり(まあ無理矢理恋物語を絡めたのはトラヴォルタに対する譲歩なんだろうけど)。
それがミュージカルと合ってるか、と言うと…これが又全く合わないところが哀しい。這い上がる過程が長々と続くため、折角のミュージカルシーンがとにかく暗く、しかもそこに三角関係のドロドロが入り込んで、ATGの世界に突入していく。
これで最後のダンスシーンでカタルシスがあれば良かったんだが、あれも結局ダンスで喧嘩してるだけになってしまい、ダンスってよりも格闘技を観てる気分にさせられてしまう。
何よりも『サタデー・ナイト・フィーバー』の続編という癖に、前作無くてもほとんどのシーンが成立してしまう。トニーの覚悟や時代の流れも挿入させるべきだったんじゃないかな?
そう言う意味で物語の演出的にはことごとく失敗してる作品なんだが、それでも良いところはたくさんある。何よりもトラヴォルタが「別人?」ってくらいにシェイプアップしてその肉体美をさらけ出し、それを存分に使っているのが一番(なんでもこれはスタローン自身がかつて『ロッキー』の際、自ら行ったトレーニングをさせたのだとか)。
それと、物語そのものは『サタデー・ナイト・フィーバー』とのつながり無しで成り立つんだけど、ラストシーンでステイン・アライブを流しつつ、ステップを踏んで歩くシーンだけは、やはりそのつながりを感じさせられるし、そこに至るまでが長いながら、ここだけで充分「良かった」と思えるところがある。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (0 人) | 投票はまだありません |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。